神戸国際大付・花村、聖地マウンドで輝き放った162センチ左腕
「全国高校野球選手権・3回戦、天理2-1神戸国際大付」(18日、甲子園球場)
162センチのド根性左腕が聖地のマウンドでひときわ輝きを放った。六回から登板した神戸国際大付(兵庫)の花村凌投手(3年)は、キレのある直球と前面に押し出した気迫で相手を次々となぎ倒す。「僕にはプライドも捨てる物もなかった」。反骨心ではい上がってきた背番号11が見る者の心を打った。
投手としては今大会で最も身長が低い。小さな体にリュックを背負ってニコニコしていることからチームで「小学生」とからかわれることもある。しかし、マウンドでの闘志は他の追随を許さない。部員100人を超える強豪校では打撃投手からスタートし、毎日50球以上を黙々と投げながらレギュラーを目指して制球力と観察眼を磨いてきた。
「体はあんなんやけど意志を貫き通す力がすごい」。荒木恵亮内野手(3年)は証言する。今夏の練習試合。打席の花村はスクイズを試みたが、ウエストされた。すると体をめいっぱい伸ばし、片手で持ったバットで飛びついてみせた。冬場に山道を10周走るトレーニングでは毎日先頭でゴールした。執念は体格差を上回ると証明してきた3年間だった。
最後は地方大会から計19イニング目で喫した今夏初失点で力尽きた。それでも不屈の闘志は冷めない。「大学でも社会人でもプレーして長く野球を続けたい。できれば上にも行きたい」。夢はプロの世界で小さな大投手になること。聖地でつけた自信を胸に、これからも気迫で左腕を振り続ける。