済美のエース・八塚が号泣 満塁弾返しも空砲に…壮絶乱打戦 延長で力尽く
「全国高校野球選手権・3回戦、盛岡大付12-7済美」(19日、甲子園球場)
3回戦4試合が行われ、済美(愛媛)は延長十回の末に7-12で盛岡大付(岩手)に敗れ、準優勝した04年以来の8強入りを逃したが、3戦6本塁打と強打は印象づけた。大会史上初となる1試合2本の満塁アーチが飛び出す乱打戦は3番手で登板したエース兼主将の八塚凌二投手(3年)が、相手3番・植田拓外野手(3年)に2打席連続本塁打を浴びて力尽きた。
済美のエース・八塚が号泣した。八回途中から3番手でマウンドに上がり、1点リードの九回に相手3番・植田に同点アーチを被弾。7-7でもつれ込んだ延長十回にも植田に3ランを浴び、壮絶な乱打戦に敗れた。
「自分の力不足。あんなピッチングをしてしまって申し訳ない」
入学前、3つ上の先輩・安楽智大投手(現楽天)から「これを使って俺を超えろ」とグラブを譲り受けた。4年ぶりの甲子園出場は果たしたが、託された全国制覇の夢には届かなかった。エース兼4番、そして主将の重責を担った大黒柱は「悔しさでいっぱい」と唇をかんだ。
“強打の済美”の意地は見せた。五回に先発・影山尭紀投手(3年)が満塁アーチを浴びて4点のリードを許したが、その裏に5番・吉岡秀太朗外野手(3年)が「みんながつないでくれた。打つ責任があると思った」と“お返し”の同点満塁弾。七回には2番・宇都宮佑弥内野手(3年)が左越えソロを放ち、いったんは勝ち越しに成功した。
13年ぶりの8強入りはならなかったが、打線は今大会3試合で計6本塁打。抜群の破壊力で聖地を沸かせた。中矢太監督(43)は「自分たちがやってきたことは出せた」とナインをたたえた。
14年8月に部内でいじめが発覚。現在の3年生部員は、1年間の対外試合禁止処分中に入学した。「1年の夏は大会に出られなかったけど、3年の夏に素晴らしい舞台に立てた。幸せ者だと思います」。八塚は大粒の涙を拭い、聖地をあとにした。