仙台育英・佐藤「いつかは兄を超えてみせる」 兄のオリックス・世那超え誓う
「全国高校野球選手権・準々決勝、広陵10-4仙台育英」(20日、甲子園球場)
偉大な兄を超えられなかった。「兄に追いつきたいから、ここまで来られた。優勝できなかったけど楽しかったよ、と伝えたい」。仙台育英(宮城)の佐藤令央(3年)は充実の表情で最後の夏を終えた。
2歳上の兄はプロ野球・オリックスの世那。2015年夏に同校を準優勝に導いたエースだ。聖地で躍動するその勇姿を目に焼き付け、自身も必ず同じ舞台に立つと心に決めた。
兄と比較される高校生活だった。昨秋の明治神宮大会だ。初戦・履正社の七回に2番手で登板。大舞台で本来の投球を見失いストレートの四球を与え、わずか4球降板。「兄はプロなのに」。スタンドからは心苦しい罵声が飛んだ。「兄の存在を忘れて、自分のスタイルを見つけないと」。たどり着いたのがムードメーカーだった。
以降は主に代打や伝令役でチームを支えた。野球よりお笑いを見ることが多く、一発ギャグの種類は実に3000個。「ベンチの主将。その責任感はある」とグラウンドで戦う選手たちにネタを披露し、笑顔を届けた。
夢の聖地では3回戦・大阪桐蔭の八回に代打で右前打。準決勝の広陵戦は右翼で初めて守備についた。「誰でも立てる舞台ではない。甲子園で1本出たのは誇りにしたい」。
卒業後は野手一本で勝負する。「大学で主将をやって、日本代表に入って、プロに行きたい」。追ってばかりだった兄の背中を捉える自信をつけた。