広陵・中村、イッキ清原超え!大会新6号 打点、塁打も!トリプル大会新
「全国高校野球選手権・準決勝、広陵12-9天理」(22日、甲子園球場)
甲子園の長い歴史に新たな1ページを刻んだ。広陵(広島)の中村奨成捕手(3年)が2本塁打を放って今大会6本塁打とし、清原和博(PL学園)の1大会個人本塁打記録の5本を更新した。さらに同打点記録、同塁打記録も一気に塗り替えた。チームは2007年以来の決勝進出。夏初優勝を懸け、同じく初Vを狙う花咲徳栄(埼玉)と対戦する。決勝戦は23日午後2時プレーボールの予定。
仲間を勇気づけ、「中村奨成」の名を球史に刻んだ。かつて“怪物”と呼ばれた清原の1大会個人最多本塁打記録を、32年ぶりに更新する今大会6本目の同点ソロ。ダイヤモンドを一周する新怪物に超満員のスタンドからは割れんばかりの歓声が注がれた。
「本当に打ててよかったです。記録を抜いたという実感はないですけど、勝ったという喜びは大きい」
いとも簡単に清原と肩を並べた。一回1死二塁。振り抜いた白球はバックスクリーンへ。今大会5号は高校通算43号となる先制2ラン。だが、これは序曲にすぎなかった。
歴史を動かしたのは1点を追う五回、先頭で迎えた第3打席だった。迷いなく振り抜いた打球は弾丸ライナーで左中間席へ着弾。圧倒的なパワーを見せ付けた同点の今大会6号ソロだった。この日は5打数4安打7打点。本塁打以外にも通算打点17、通算塁打数38はともに大会新記録。中村に広陵打線は引っ張られ、天理との打ち合いを制した。
長打力ばかりが目立つが、確実性も兼ね備える。中井哲之監督(55)が中村の凄みを感じたのは広島大会前に両翼91・4メートルの広陵グラウンドで行った打撃練習中のこと。「普通は折れる。木のバットであそこまで飛ばす選手は今までいなかった」。これまで阪神の新井良らプロ入りした選手にも野球部引退前にはさせなかった、木製バットでの打撃練習を中村にさせてみた。すると右へ左へ柵越え。その姿に目を奪われた。
1本だけ折ったことはあるが、平元ら投手の全力投球にも対応した中村。「どこで打てばボールが飛ぶのかやミートポイントを知ることができた。芯から外れれば折れるので、捉える確実性も上がりました」と確かな手応えを感じていた。
準優勝した2007年以来の決勝。初の頂点まであと1つ。「10年前の先輩の借りを返したい」。チームの要が中心となり、優勝への階段を駆け上がる。