「ロッテ２－６楽天」（２２日、ＺＯＺＯマリンスタジアム）

　懐かしい海風を浴びて、楽天・藤平は記念すべき１勝をかみしめた。５回２安打無失点。両リーグ通じ、高卒ルーキー初勝利一番乗り。思い出のマウンドで躍動した１８歳が、チームの連敗を６で止めた。

　「とてもうれしい。１点もやらない気持ちで、連敗を止めようという強い気持ちを持って行きました」。一人一人を着実に斬った。最速１４８キロの直球を軸に、力で押し７三振を奪った。名物の風の影響でやや高めに浮いたが、低めに決まった変化球とのコンビネーションでロッテ打線を封じた。

　２０１２年８月２２日。中学２年だった藤平は、ＺＯＺＯマリンのマウンドに立っていた。千葉市リトルシニアの一員として「マリーンズカップ」の決勝に先発し、優勝投手となった。「この試合をきっかけに、本格的に投手を始めるようになりました」。右腕にとって転機となる一日だった。５年後。優勝戦線を争うチームの危機を救い、堂々のプロ野球選手に成長していた。

　試合前、梨田監督はロッカールームに選手全員を集め「ここまで来たらやるしかない。もっともっとプレッシャーを感じて、楽天に新しい歴史をつくろう」とゲキを飛ばした。１８歳もその言葉を胸に勝利を手繰り寄せた。

　世代最速の勝利に「これからも１勝１勝、積み重ねていきたい」と藤平。大いなる未来へ、スタートとなる白星が刻まれた。