清宮、赤い糸に導かれ日本ハムへ 12年日本シリーズで始球式「縁があったのかな」
「プロ野球ドラフト会議」(26日、グランドプリンスホテル新高輪)
今ドラフトの目玉だった早実・清宮幸太郎内野手(18)は、高校生では史上最多タイの7球団1位競合の末、日本ハムが交渉権を獲得した。高校通算111本塁打の大砲は、プロの世界の入り口に立ち「ここからが勝負」と具体的な目標は明言せず。「清宮なくして今のチームはない、と言っていただける貢献の仕方ができれば」と決意表明した。
さすがの怪物スラッガーも高ぶった。思いを語る中で、目を潤ませる場面もあった。実現する幼い頃からの夢。「やっとスタートラインに立てた」という清宮の言葉に、実感がこもった。
抽選の瞬間は、和泉実監督(56)、母・幸世さん(50)らと別室でテレビ中継を見守った。次々と呼ばれる自分の名前に「フワフワしている感じ。自分でどうこうできないので」と戸惑う中で、交渉権が確定。7球団という数字には「たくさんの方に指名していただけると思っていなかった。本当に光栄だけど、ここからが勝負」と気を引き締め直した。
各球団との面談でも、育成方針に興味津々だった。その意味では、日本ハムは願ってもないチーム。大谷や中田ら、日本を代表する高卒のスターが居並ぶ。「たくさん素晴らしい選手が育っている印象がある。そこが一番。自分も同じように、またそれ以上に成長できる環境に入れるという期待がある」と胸を膨らませた。
赤い糸は5年前からつながっていた。リトルリーグ世界一に輝いた12年。巨人-日本ハムの日本シリーズ第1戦(東京ドーム)で、始球式を務めたのが中学1年生の清宮だった。試合前の栗山監督に漂うピリッとした緊張感は、鮮明に覚えている。さらに早実OBでは斎藤佑が在籍し、2軍監督に荒木大輔氏が就任。「今思えば、あの時からご縁があったのかな」と笑った。
目標を問われても、具体的な数字は口にしなかった。対戦したい投手も挙げなかった。ただ、揺るがない覚悟はある。「プロになるからには『清宮がいなきゃ勝てなかった』、『清宮なくして今のチームはない』と言っていただける貢献の仕方ができれば」。チームを背負う存在になることを誓った。
会見の冒頭では「今まで18年間、育ててくれた両親に感謝の気持ちを伝えたい」と述べた。いよいよ迎える巣立ちの時。高校通算111本塁打の実績もプロでは関係ない。「まだ自分は何も成し遂げていない。自分を信じてやるべきことをやっていきたい」と唇を結んだ清宮。北の大地から、次なる伝説が始まる。