ケガ治療の経験生かして鍼灸師目指す…カープ今井、12年間のプロ生活に幕

 【第2の人生へプレーボール】

 今オフも多くの選手が所属チームを退団した。新天地に働き場所を求める者、引退して指導者として歩み出す者がいれば、ユニホームを脱いで新たな世界に挑戦する者もいる。彼らの第2の人生にエールを込めて、スポットを当てる。第1回は広島の今井啓介投手(30)を追う。

  ◇  ◇

 腹をくくって臨んだ1年だった。戦力外通告を受けた今井は悩んだが、引き際は潔かった。12年間のプロ生活に終止符を打った。野球から離れる決断を下し、鍼灸(しんきゅう)師を目指して新たな人生のスタートを切る。

 「昨年1軍に上がれず、今年は後悔したくないという思いと、ここで必要とされなかったらユニホームを脱ごうと考えながら1年間を過ごした。(引退することに)全然、後悔はない」

 05年度高校生ドラフト2巡目で中越高から広島入団。4年目の09年9月18日・阪神戦(甲子園)、先発5回1/3を3失点でプロ初勝利を挙げた。13年には主に中継ぎで自己最多の33試合に登板し、ブルペンを支えた。12年目の今季は2年ぶりに1軍昇格を果たし、中継ぎで4試合に登板。だが、防御率5・40と結果を残せなかった。

 忘れられないのが12年9月1日・阪神戦(甲子園)だ。「初めてスミ1の完封ができた。普通なら代えられていたが最後まで投げさせてもらい自信になった試合」とプロ初完投初完封を飾った思い出のマウンドを振り返った。

 15年に右肩痛を患うなど、ケガに苦しんだ時期もあった。そんな苦い経験が人生の岐路に立った時の決断に影響を与えた。「これまでは治療を受けてきた立場。それを生かすことを考えた時に、そっちの道にも興味があった。妻も賛同してくれた」。鍼灸師の資格取得を目指し、来春から都内の専門学校に進む。

 新しい分野への挑戦に迷いはない。「鍼灸師をやるなら、今しかない。もう30歳になる。後悔したくないので」。人望厚かった右腕が選んだ第2の人生は、ケガや故障で苦しむ人々を支えていく役。厳しかったプロでの経験を糧に、未知の世界へと飛び込んでいく。

 ◆今井 啓介(いまい・けいすけ)1987年5月24日生まれ、30歳。新潟県出身。183センチ、89キロ。右投げ右打ち。投手。中越から2005年度高校生ドラフト2巡目で広島入団。09年7月18日・ヤクルト戦(マツダ)でプロ初登板。通算成績は114試合8勝20敗1セーブ4ホールド、防御率3・59。

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