【17年高校野球10大ニュース】清宮111本塁打、中村夏の甲子園1大会最多6発
2017年も日本の高校野球人気は健在だった。盛り上がりをさらに加速させるような、歴史を塗り替える数々の記録や名場面も誕生。デイリー高校野球取材班が10大ニュースをピックアップした。
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【(1)清宮、高校通算111本塁打】
怪物スラッガー、早実・清宮幸太郎内野手(3年)が本塁打フィーバーを巻き起こした。通算78本塁打でスタートした高校最終年。ノーアーチに終わったセンバツから、当初はスランプに陥った。だが、春季東京大会準々決勝で80号を放ち、量産モードに突入。驚異の公式戦8戦連発も記録した。
そして、6月4日の招待試合・享栄戦で大台の100号に到達。その後も勢いは衰えず、夏の西東京大会準決勝・八王子学園八王子戦で史上最多とされていた神港学園・山本大貴の通算107発についに並んだ。
同決勝で敗れて甲子園出場は逃したものの、選出された高校日本代表の練習試合で新記録の108号をマーク。U-18W杯(カナダ)で2発を加算し、111本塁打まで数字を伸ばした。
【(2)中村、夏の甲子園1大会最多6発】広陵・中村奨成捕手(3年)が夏の甲子園で、1985年のPL学園・清原(5本)を上回る1大会個人最多記録となる6本塁打を放った。1回戦・中京大中京戦で2本塁打を放つと、3回戦・聖光学院戦まで3試合連続本塁打。準決勝・天理戦で2本塁打を放ち、32年ぶりに記録を更新した。17打点と同38塁打は1大会個人最多新記録、19安打、6二塁打、3試合連続本塁打は1大会個人最多タイ記録。準優勝に終わったが、中村は今夏の主役だった。
【(3)決勝大阪勢対決】センバツは史上初となる大阪勢同士の決勝となり、大阪桐蔭-履正社が激突した。歴史的な一戦とあって、試合展開は劇的だった。大阪桐蔭は初回に藤原恭大外野手(2年)が先頭打者弾を放って優位に進めたが、履正社が八回に3点差を追い付いた。直後の九回には大阪桐蔭の代打・西島一波捕手(3年)が、決勝戦では史上初となる代打本塁打で勝ち越し。大阪桐蔭が12年以来2度目の優勝を果たし、履正社は春夏通じて初優勝を逃した。
【(4)夏の大会史上最多68発】夏の甲子園は史上最多のアーチが乱れ飛んだ。48試合で68本塁打が生まれ、06年の60本を更新した。のべ9人が1試合2発を記録。また、代打満塁弾(明豊・三好)、1試合2本の満塁弾(盛岡大付-済美)は史上初だった。
【(5)女子部員甲子園練習参加が解禁】センバツから女子部員の甲子園練習参加が可能となり、初めて女子マネジャーが大会規定で認められて聖地のグラウンドに立った。一番乗りは不来方(岩手)の3人。ヘルメットとジャージー着用で、活動は人工芝のファウルゾーンに限られた。
【(6)東京大会で異例ナイター開催】春季東京大会決勝が、清宮擁する早実と日大三のライバル対決に。東京都高野連は観客の安全面を考慮。球場が神宮第二から神宮に変更され、異例のナイター開催となった。注目の一戦には2万人の観衆が来場。フィーバーぶりはワイドショーでも取り上げられた。
【(7)春夏通じ初2戦連続延長引き分け再試合】センバツの大会第7日第2試合の福岡大大濠-滋賀学園、第3試合の高崎健康福祉大高崎-福井工大福井が続けて延長十五回引き分け再試合に。甲子園で春夏通じて初の出来事を受け、検討されていたタイブレーク導入への流れが強まった。
【(8)花咲徳栄が埼玉勢夏初V】9度目の甲子園出場だった花咲徳栄が埼玉勢夏の初優勝。6試合すべて2桁安打&9得点以上の猛打で、頂点をつかんだ。主砲・西川とエース・清水は、10月のドラフトで西武と中日からそれぞれ指名された。
【(9)U-18W杯日本初Vならず】9月にカナダで開催されたU-18ワールドカップ。直近2大会連続準Vの日本は、2次ラウンドでカナダと韓国に連敗。決勝進出を逃した。3位決定戦に勝利したが、清宮、安田、中村らを擁しながら、またも悲願の初優勝に届かず。
【(10)ベース踏み損ね大阪桐蔭春夏連覇逃す】大阪桐蔭は悪夢のような幕切れで史上初の2度目の甲子園春夏連覇を逃した。夏の甲子園3回戦・仙台育英戦。1点差の九回2死一、二塁からゴロを処理した遊撃手からの送球を受けた一塁・中川卓也内野手(2年)がベースを踏み損ね、直後に逆転サヨナラ打を浴びた。