記録より記憶の仙さん 「燃える男」粉骨G倒で74年巨人V10阻止
楽天・星野仙一球団副会長が、4日午前5時25分に膵臓(すいぞう)がんで死去していたことが6日、球団から発表された。70歳だった。
現役時代の通算成績は実働14年間で146勝121敗34セーブ、防御率3・60。数字だけを見れば、大エースと胸を張れるものではない。ただ、星野氏は文字通り記録より記憶に残る投手だった。
燃える男として「打倒・巨人」を掲げ敵意むき出しの投球。王、長嶋のONに対して真っ向勝負を挑み、その姿に中日ファンも熱狂した。そんな星野氏が夢を結実させたのが、巨人のV10を阻止した1974年だ。先発、抑えとフル回転して49試合に登板。15勝9敗10セーブの好成績でリーグ優勝に貢献した。ついにセ界の頂点に立った際に漏らした言葉に実感がこもっていた。
「今シーズンは悔いが残るものは何もない。日本シリーズで4連敗してもいい。それくらいうれしいです」
このシーズンに初代セーブ王を手にするとともに、沢村賞も獲得。投手として最も名誉のある賞を手に入れ「堀内も当然、候補にあがったと思うが、優勝こそ決め手だったと思う」と胸を張った。
名球会入りを果たすような絶対的なエースとして君臨したわけではない。83年4月3日が引退試合。「投手に一番大事なものはハートのスタミナ。オレのいいところはそれだけさ」と言う言葉を残し、背番号「20」に別れを告げた。