川上憲伸氏「球界のオヤジ」仙さん悼む「プロで生きる術教えてくれた」
楽天・星野仙一球団副会長が、4日午前5時25分に膵臓(すいぞう)がんで死去していたことが6日、球団から発表された。70歳だった。同氏の中日監督時代、先発投手としてチームを支えた川上憲伸氏(42)も急逝した恩師を悼んだ。
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ボクにとって、星野さんはプロで生きていく術(すべ)を教えてくれた恩人にほかなりません。一番の思い出は、新人だった1998年7月4日の巨人戦(ナゴヤドーム)。完封した後に星野さんが抱きかかえるようにしてくれたことです。あのシーンは、今も脳裏に焼き付いて離れません。
星野さんに呼び出されことが、一度だけあります。プロ入り3年目の7月2日ヤクルト戦(浜松)。そのシーズンは、右肩の状態が上がらず一進一退の繰り返しでした。その試合後の浜松のホテル。「どこか痛いんやろ?」と…。右肩の状態は伝えましたが、すぐこう諭されました。
「痛い、かゆいはグラウンドで出すな。野手はどう思うんだ?試合を戦っている時は隠し通せ!!」。その翌日の朝食会場。ボクは2軍落ちして名古屋に帰るため、早い時間に一人で食べていたんですが、すると星野さんが姿を見せました。「一人で食べてないで、こっちこいよ」。また怒られるかなと思ってビクビクしていましたが、もうそこに前夜の顔はありませんでした。「彼女はおるんか?」。冗談交じりのざっくばらんな会話。あの穏やかな表情に救われた気がします。
ボクにとって星野さんは球界のオヤジ。プロで成功に導いてくれ、感謝してもしきれない存在です。