21世紀枠の膳所 IT野球で念願の初戦突破だ!京大進学全国2位
「選抜高校野球大会選考委員会」(26日、オーバルホール)
第90回選抜高校野球大会(3月16日抽選、同23日開幕・甲子園)の出場36校を決める選考委員会が26日、大阪市内で行われ、例年多くの京大進学者を輩出する滋賀県屈指の進学校・膳所(ぜぜ)が21世紀枠に選出された。1978年夏以来40年ぶりの甲子園で、春は59年以来59年ぶり4度目。春夏通算6度目となる聖地の舞台では、秀才軍団が得意の“IT野球”を駆使して念願の初戦突破を目指す。
“頭脳派集団”に吉報が届いた。昨年は卒業生も含めて全国で2番目に多かった66人もの京大進学者を出すなど、県内屈指の進学校の膳所。多くの現部員も難関大進学を目指すなど秀才たちにもたらされた春切符。吹き付ける雪がピタリとやみ、晴れ間が差し込む。21世紀枠での甲子園出場に学内は大騒ぎだ。
得意とするのは“頭脳戦”だ。チームの土台を支える大事な戦力は、外野手登録の2人の1年生。野津風太君と高見遥香さんのコンビだ。
実は2人とも野球経験はないが、それでも大きな戦力だ。相手打者の特徴から導き出した守備シフトやセイバーメトリクスの数値をはじき出し、チームに還元。上品充朗監督(48)も「立っている所に本当に打球が行く。おもろいなぁ、という感じです」と驚嘆するほどで、チームはデータ班による資料を生かし昨秋県大会で8強入り。準々決勝では敗れたが、その後県大会を制し、近畿大会で4強入りする近江に1-3と接戦を演じた。
そのデータ班の一人はセーラー服姿のかれんな“IT女子”の高見さんだ。ごひいきのプロ野球チームは広島というカープ女子。データに興味を持ったきっかけは、特集番組で広島の田中&菊池の1、2番コンビの打率が状況によって変化するというデータを見たことだ。今回の21世紀枠選出には「野球が好きな子もいると思うんですけど、マネジャーは大変という子も多いと思うんです。(データ班として)新しい関わり方もあるということを示せたのはうれしい」と胸を張る。
そして“相方”は冷静沈着タイプな野津君だ。自分たちが集めたデータを、滋賀大に持参し協力を得て分析。既にセンバツに向けても「明治神宮大会のデータとかも用意してもらっているので」と心配なし。入部動機は「ゲームプログラマー」という自身の夢への実現に役立てたいとの考えからだった。
まず狙うのは初の初戦突破だ。春夏通算6回目の甲子園。それでも過去に勝利を飾ったことはない。59年ぶりとなる春の大舞台。英知を結集し、頭をフル回転させながら聖地で大暴れする。
◆滋賀県立膳所高等学校 大津市に所在。創立120周年を誇る県内屈指の進学校。毎年、京大進学希望者は150人近くに上る。生徒たちが自分で興味のある分野を研究、分析などをする「探求活動」の授業も。甲子園出場は今回で春夏通算6回目。78年の夏以来40年ぶりとなった。野球部員も練習後に塾に通う生徒が多い。主な卒業生は石田博三(元阪神)、中村鋭一(元国会議員、タレント)、三日月大造(滋賀県知事)、越直美(大津市長)