松坂「1軍にいなきゃ」 右肩痛、引退…中日先輩・川上憲伸氏に語った
「中日春季キャンプ」(13日、北谷)
中日・松坂大輔投手(37)が13日、元エースの川上憲伸氏(42)と対談した。右肩痛からの苦闘に始まり、引退の覚悟、自身初となるセ・リーグなど…。北谷キャンプで最も注目を浴びる背番号「99」は、現役時代に右肩を手術するなど同じような境遇だった川上氏に、新天地で迎えるプロ20年目の思いを打ち明けた。
◇ ◇
川上氏(以下、川上)「今の松坂君の投球を見ていても、去年の映像とは全然違う。真っすぐは日本復帰後、一番いいのでは」
松坂「はい、一番いいと思います。去年までは気持ち良く投げているようで、痛くないところを探しながら投げている感じでした。肩に負担がかからないようにすると、どうしても上体の高い投げ方になってしまう。投げてる本人が一番、分かってました」
川上「僕も右肩痛に悩まされたので、その痛くないところを探して投げるって疲れるよね」
松坂「はい。ここかなと思うところで投げていて、大丈夫かなと思っても、そうではない。またイタチごっこみたいな感じで…。(周囲から)『ああ投げろ、こう投げろ』って言われる夢まで見るようになってました」
川上「僕もいろいろ言われて、『君も肩が壊れたらこんなフォームになるんだよ』って言いたかったくらい。どうしても右肩付近に窮屈感が出てくるんだよね。周囲から雑音も入ってきたと思うけど…」
松坂「僕の場合は、けがしたときにかかわらず、悪いときはそれなりにたたかれてきたというか、慣れるというか、免疫ができてましたね。いろいろ言う人に反論するつもりもなかったし。憲伸さんもそうだと思うんですけど、けがした人にしか分からない部分ってあると思います」
川上「やっぱり引退はよぎった?」
松坂「もちろん、ありました。(昨年4月に右肩を)痛めてからリハビリして、2カ月たっても3カ月たっても良くならなくて、いろんな病院に通って…。このまま投げられなかったら、うーんって思っていたし、何回も家族に話しましたし、ギリギリまで(引退を)悩みました。でも、夏ぐらいからちょっとリハビリがかみ合いだして、キャッチボールができるようになって10月終わりにブルペンに入れたんで、これなら続けようと。場所(チーム)はどこになるか分からなかったのですが」
川上「やっぱり肩のことを考えると、メジャーと違って日本の野球ってベンチ前でウオーミングアップできるのはありがたい」
松坂「それはほんと思いますね。メジャーでも夏はまだいいんですけど、春先は裏にスペースを見つけて壁当てしたり。まず新しい球場に行って探すのは、裏にキャッチボールするスペースがあるかどうかでした」
川上「ドラゴンズというチームはどう思ってる?」
松坂「知ってる選手も多くなくて、正直、外から見てると、もの静かで暗いイメージだったんですけど(笑)。実際、中に入ってみると、こんなに面白いキャラの子たち、いっぱいいるんだなって。ほんと明るくて、そこはビックリしました」
川上「松坂君の場合、西武もレッドソックスもそうだし、在籍したチームは強かった。経験した部分を、今のチームに伝えようという意識は?」
松坂「コーチの方々もいますし、でしゃばるつもりはないです。ただ正直、僕はここにずっといられるとは思わないし、この先のチームのためになるのなら、ここは変えた方がいいと思ったことは、気付いたら言うかもしれません。でも、そのためにも僕が1軍にいなきゃいけない」
川上「それから名古屋という街はいい。僕も出身が名古屋ではないけど(笑)。近くにたくさんゴルフ場もあるし、食事もおいしいし、渋滞がない」
松坂「それはいいですね(笑)」
川上「セ・リーグの野球も初めてになるね。松坂君は打撃もセンスの塊だし、野手でも(安打を)2000本打てたくらい」
松坂「いやいや、憲伸さんには負けます(笑)。ただ、投げて打席に立つって行為は野球をやってる感がありますよね。僕は交流戦や日本シリーズのときも、先発するならセの本拠地がいいって、いつも思ってました」
川上「とにかく焦らずに頑張っていってもらいたい。松坂君が本拠地開幕の4月4日に投げると思って、チケット買っておきます。大いに期待しているし、意地を見せてほしい」
松坂「まだそこは、ちょっと早いですね(苦笑)。でも、とにかく、今は自分自身に期待しています。たくさんの人が待っていてくれていますし、なるべく早い段階で応えたいですね」