注目スラッガー門叶「夏、絶対に戻ってきたい」 瀬戸内無念の逆転負け
「選抜高校野球・1回戦、明秀学園日立4-3瀬戸内」(23日、甲子園球場)
27年ぶり3度目の出場となった瀬戸内は明秀学園日立に九回、逆転され3-4で敗れた。出場2大会連続での初戦突破はならなかった。昨秋中国大会で1試合4本塁打を放ち高校通算22本塁打の門叶直己外野手(3年)は、本塁打ゼロ。4打数1安打に終わった。肌で感じ取った全国レベルの高さを糧に打撃を磨き、今夏の甲子園に帰ってくることを誓った。
天を仰いだ。3-4の九回2死三塁。門叶は初球の直球を打ち上げ二飛に倒れた。一発出ればサヨナラの場面であっさり凡退。「次の打者につなぐ意識ではなく、自分が決めてやろうという欲が出た」と唇をかみしめた。
勝利を最優先し、チーム打撃を徹底すると決めていた。だが打席前にチームメートの「頼むぞ」という言葉が力みにつながった。「もう少し球を見極められたら自分の打撃ができたと思う」と長谷川義法監督(49)。大舞台で結果を出すには冷静さを保つ精神力の強さも必要。それを再認識させられた打席になった。
高校通算22本塁打。注目のスラッガーとして門叶は今大会を迎えた。それでも全国には想像を超える打者がいた。3安打した明秀学園日立の1番・増田のスイングスピードの驚き、2安打の4番・芳賀の打球は強烈だった。自身の現在地を知ることができた初めての甲子園とも言える。
「プレッシャーがかかった中で九回まで戦えたのは良い経験になった。みんなから信頼される4番、どんなチャンスでも勝負強い打撃ができる打者になって今年の夏、絶対に戻ってきたい」
前を向いた目には、それまで流していた大粒の涙はなかった。夏の聖地を目指すスタートラインに立った。