彦根東・高内、21世紀生まれ初弾 有言実行に「新しい歴史作れてよかった」
「選抜高校野球・2回戦、彦根東4-3慶応」(28日、甲子園球場)
2回戦3試合が行われ、滋賀県彦根市内の直線距離で約1キロに位置する彦根東と近江が初戦を突破した。彦根東は慶応(神奈川)との進学校対決を制して、4度目のセンバツで初勝利。主将・高内希捕手(3年)が放った逆転3ランは、21世紀生まれの選手による春夏通じて甲子園初本塁打となった。近江も松山聖陵(愛媛)に快勝。初の複数出場となった滋賀県勢は3校中2校が3回戦へ進み、甲子園の春夏通算50勝を挙げた。
真っ赤に染まった一塁アルプス席を背に、笑顔で右拳を握った。21世紀生まれの選手が甲子園に描いた初アーチ。高内が歴史に名を刻んだ。
「(先発の)増居が頑張っていたので、ここで決めないといけないと思っていた。最高ですね」
1点を追う八回2死一、三塁。神戸大進学を目指す秀才の読みがさえた。本塁打を打つ直前、慶応の先発・生井が捕手のサインに何度も首を振った。
高内は昨年6月に投手から捕手へ転向。投手と捕手の心理が分かる。「一番自信がある球で来る」。直球に絞ってコンパクトにスイング。内角直球を芯に乗せ、左翼ポール際へ逆転3ランを運んだ。
1打席目はタイミングが合わず、直球に差し込まれて投ゴロに倒れていた。2打席目から普段使用する84センチのバットを、極端に短い80センチのバットに変更したことも奏功した。
有言実行の一発だった。出場36校の主将が参加した15日のキャプテントーク。司会者が「21世紀生まれの初本塁打を打ちたい選手はいますか」と全主将に質問した。挙手したのは、高内と膳所・石川唯斗捕手(3年)だけ。「歴史的な一本を打ちたい」。張り切って話した目標が現実となった。
彦根東は1894年の創部から125年目、4度目の挑戦でセンバツ初勝利となった。21世紀枠で出場した前回の09年は初戦敗退。「(甲子園に)帰ってきて、新しい歴史も作れてよかった」。主将は本塁打と二重の喜びに声をはずませた。
3回戦は13年夏に敗れた花巻東と対戦する。「試合をしたいと思っていたし、次も絶対に勝ちたい」。目標は同校初の甲子園2勝。今年は忘れられない春にする。