明徳・市川 サヨナラ逆転被弾「甲子園は27個のアウトを取りきるのが難しい」
「選抜高校野球・3回戦、日本航空石川3-1明徳義塾」(30日、甲子園球場)
明徳義塾(高知)は日本航空石川にサヨナラ負けを喫し、8強入りを逃した。1点リードの九回、エース・市川悠太投手(3年)が原田竜聖外野手(3年)に逆転サヨナラ3ランを浴びた。最速146キロのプロ注目右腕は、悔しさを糧に夏の全国制覇を誓った。
左翼席へ吸い込まれる打球をぼう然と眺めていた。まさかの逆転サヨナラ3ラン被弾。エース・市川は何が起こったのかつかみ切れないような表情で、マウンドに立ち尽くした。
「スライダーが抜けて甘く入った。レフトフライかなと思ったけど、風に乗って…。失投です」
1-0で迎えた九回裏。直前の攻撃が1死満塁から併殺で無得点に終わり「嫌な雰囲気だった」と振り返る。
右前打と四球で無死一、二塁のピンチを招き、マウンドに駆け寄ってきた安田陸捕手(2年)と「ボールから入ろう」と話し合った。しかし、3番・原田に投じた初球のスライダーが甘く入った。沸き起こった大歓声と悲鳴が、戦いの終わりを告げた。
中央学院との初戦は、4番・谷合悠斗外野手(3年)の劇的な逆転3ランでサヨナラ勝ち。5失点のエースは主砲に感謝し、「次は完封します」と宣言した。前日29日は自身の17歳の誕生日だった。ケーキを贈ってくれたチームメートに、市川は好投を誓った。そして宣言通りスコアボードに0を並べ、完封まであとアウト3つに迫ったが…。
「甲子園は27個のアウトを取りきるのが難しいと分かりました」
昨秋は公式戦全10試合を1人で投げ抜き、チームを明治神宮大会優勝に導いた。最速146キロのプロ注目右腕は、悔しさを糧にさらなる成長を誓う。「真っすぐもスライダーもキレを増して戻って来たい。夏は優勝します」。高知に戻り、全国制覇への準備を開始する。