オリックス・ドラ1田嶋、球団64年ぶり、開幕カード新人初先発初勝利
「ソフトバンク4-8オリックス」(31日、ヤフオクドーム)
オリックスのドラフト1位・田嶋(JR東日本)が強力ソフトバンク打線を相手に5回1安打1失点の快投。12球団新人一番乗りでプロ初勝利を挙げた。
初回から全力で腕を振った。だが、MAX150キロを記録する一方で制球は乱れ、初回1死から川島に先制弾を浴びた。二回終了時点で65球。ベンチに戻ったところで、福良監督が歩み寄ってきた。
「力入りすぎてるな。自分らしく投げろ」
笑顔の助言で、自分を見つめ直すきっかけを作ってくれた。三回はわずか7球で上位打線を料理。四、五回も危なげなく抑えた。ここで同点のまま、お役御免。直後の六回にロメロが勝ち越し2ランを放ち、チームメートから初勝利の権利が発生したことを聞いた。
「回を追うごとに胃がキリキリしてきました。最後は久々にこんなにうれしいなって思いました。都市対抗予選を勝ち抜いたとき以来ですかね」
球団新人の初登板初勝利は1989年の酒井勉(現育成コーチ)以来、29年ぶり8人目。左腕では54年・梶本隆夫、58年・牧田政彦に次いで、60年ぶり3人目。開幕カードでの初先発初勝利となれば梶本隆夫、国頭光仁以来となる64年ぶりの偉業だ。
憧れの選手はいない。子供の頃からプロ野球を見た記憶がほとんどない。野球談議よりも、ファンを公言する欅坂46の話題に笑顔を見せる今どきの青年。
こんな一面もある。昨年10月のBFAアジア選手権では大会直前、ベンチで着替えているところに側頭部に送球を受けこん倒。数センチずれていたら生命の危機だったという。とても投げられる状態ではなかったが、決勝戦の先発を志願。台湾相手に5回無失点で優勝を導き、大会MVPを獲得した。
「練習もできず、ぶっつけ本番でしたけど。絶対投げるつもりでした」と当時を振り返る。
勝負にかける闘志は人一倍。投げるボールは一級品。頼もしい左腕が加わった。