“9回ノーヒットノーラン”彦根東左腕・増居は進学一本 今後もプロ目指さず

 「春季高校野球滋賀大会・2回戦、彦根東10-4守山北」(28日、湖東スタジアム)

 滋賀県内屈指の進学校、彦根東が今春のセンバツ後、初の公式戦に臨み、エース・増居翔太投手(3年)を温存して快勝した。センバツ3回戦・花巻東戦で、九回まで無安打無得点投球をしながら、延長十回にサヨナラ負けした左腕は、今後もプロ入りを目指さないことを明かした。

 「プロは全く考えていないです。自分は今が一番だと思うし、(選手としての)限界を感じているところもあるので。プロになれたとしても、プロ野球選手としての自分の将来性を考えると、どうなのかなと思うので」

 花巻東戦の快投で一気に評価を上げ、「今大会の左腕で一番いいと思う」と話すスカウトもいた。当然、周囲の盛り上がりは増居の耳にも届いている。高校球児なら誰もが憧れるプロ野球選手。可能性がある限りは目指したい世界だが…。秀才はマウンドでの立ち振る舞いと同様に、冷静に自分を見つめていた。

 高校卒業後は京大だけではなく、関東の大学を含めて進学を目指す。野球は続けるつもりだが、大学卒業後の進路の選択肢にもプロはないという。

 センバツ後も浮ついた様子はない。むしろ、今まで以上に貪欲な姿勢で練習に取り組んでいる。

 「試合が終わって一週間ぐらいは、余韻に浸っていたところがありました。でも、すっきり忘れました。出来過ぎですから。結果だけを見ている人が大半だと思うし、自分としては、内容も含めて反省するところがある。内容以上の結果が出ているので、冷静に受け止めています」

 センバツではコースへ決まったボールが打ち返された。その反省から、より高低を意識するようになった。これまでより浅くボールを挟んで、小さく変化するスプリット習得にも取り組んでいる。新しいことに挑戦しているため、練習試合で打たれることも多く、「調子自体は悪いですね」と話す。

 村中監督は結果が出なくても、必死な姿を前向きに捉えている。「増居は今までも大きな大会が終わると調子を崩していた。でも、それは(大会で学んで)新しいことに取り組むから崩れる。崩れることは変化だと思っています」と夏の進化を期待した。

 増居には野球選手としての夢がある。「プロは考えていないけど、高校野球では上に行きたい」。3年間の集大成は、同校初の3季連続甲子園出場で飾る。

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