中日・松坂、4241日ぶり日本復帰星 怪物の新しいドラマ始まった
「中日3-1DeNA」(19日、ナゴヤドーム)
平成の怪物がついに勝った。中日・松坂大輔投手(37)がDeNA戦に先発して6回3安打1失点で今季初勝利。日本球界での勝利は西武時代の2006年9月19日のソフトバンク戦以来、約12年ぶり。4241日ぶりの勝利で、チームの連敗を4で止めた。
自然と輪ができた。国内12年ぶりの白星が決まると、ベンチでナインに囲まれた。松坂も忘れかけていた勝利の味。はじけんばかりの笑みがこぼれた。
「メチャクチャうれしかった。あまり喜びを爆発させるのもどうかなと思ったけど、あまりにも間が空きすぎて抑えられなかった」
チームの連敗を止めたい一心で立ち上がりから飛ばした。6回計8四死球も、三回に移籍後最速の147キロをマーク。五回1死満塁のピンチも冷静だった。「長打を打たれるよりは1点あげてもいい」。ロペスを三ゴロ。続く宮崎への押し出し四球も想定内。梶谷を一ゴロに仕留め、最少失点で乗り切った。
今季最多の3万6606人の後押しにも感謝した。「最後の力を与えてくれた」。五回終了時に森監督は交代を考えていたが、松坂は続投を志願して腕を振った。
1月の入団テストから3カ月余りでの初白星に「なるべく早く1つ勝ててホッとしている」と本音もこぼれた。もともと球数を投げ込んでフォームを固めるタイプだが、春季キャンプでは右肩痛再発を避けたい周囲から「抑えて、抑えて」と言われ続けた。
「いくらでも投げようと思えば投げられる」。松坂には葛藤もあった。だが、昨季までの3年間で登板1試合と投げられなかったことも事実。欲を抑えながら続けた調整で、4241日ぶりの白星にたどりついた。「試合を任せてもらえる状況は幸せなこと」。チームの戦力として戦える喜びを感じた。
ただ、待ちに待った白星もあくまで通過点でしかない。「プロ野球選手としてしっかり結果を残していかないといけない気持ちの方が今は強い」。先発ローテの一角として中5、6日で回る理想を実現のために、松坂はがむしゃらに働く。