広島大会 マツダでの全校行進による開会式中止 豪雨被害で規模縮小して11日に
広島県高野連は7日、大雨により県内各地に大きな被害が出ているため、8日に開幕予定だった第100回全国高校野球選手権広島大会は開幕日を11日に変更し、マツダスタジアムでの全校行進による開会式は中止すると発表した。
西日本各地に大きな被害をもたらした豪雨。広島県内でも土砂崩れや河川の氾濫による住宅被害が続出し、多くのケガ人や死者が出ている。非常事態を受けて広島高野連は8日から10日までの全日程を延期。11日開幕とし、マツダスタジアムでの全校行進による開会式は中止する苦渋の決断を下した。開会式は11日のみよし運動公園野球場での試合前に優勝旗返還など、規模を縮小して行う予定だ。
県高野連の久保陵二理事長(52)は「今回の豪雨によって、想像を超える大きな災害が起こっています。十分に検討した結果、今後の状況を鑑みても、このような形を取らざるを得ないと判断しました」と説明した。
当初は7日に開会式と1回戦1試合をマツダスタジアムで行う予定だったが、悪天候を見込んで8日に順延していた。7日になって大雨は収まったものの、JR各線は運転を見合わせている。山陽道も通行止めになるなど、高速道や一般道も各地で通行止めとなっており、復旧のメドは立っていない。
ほとんどの高校では開会式にはバスやJRを利用してマツダスタジアムに入る予定にしていたが、交通網が寸断されており、移動は容易ではない。離島にある因島高は「(通行止めの)しまなみ海道が開通しない限り、島からの移動手段すらない」(伊豆田昌弘部長)という厳しい状況に置かれている。
第100回の記念大会を迎える今年の開会式では、各校の3年生全員が入場行進に参加することになっていた。入場行進は例年、ベンチ入り20人に限られるが、県高野連は節目の大会であることを踏まえ、対象をベンチ外の3年生まで拡大。だが、豪雨によってその晴れ舞台も流されることになり、久保理事長は「3年生をはじめ、多くの方が楽しみにされていたと思う。われわれも新たな試みとして準備していただけに本当に残念です」と話した。
被害が大きい呉地区にある呉宮原高の野球部員には家に戻れず、車の中で一夜を明かしたり、自宅が床下浸水の被害に遭ったりした者もいるという。同校の中村真人部長は「まだまだ安心できる状況ではない」と選手の安否も含めて情報収集に追われている。大雨でグラウンドが使えず、練習再開のメドが立っていない高校も多い。しばらく混乱は続きそうだ。