真備町出身・井元「あきらめない」 自宅浸水避難…昨年Vおかやま山陽主将が決意

 西日本豪雨で県内に大きな被害が出た岡山大会が開幕し、開会式では出場59校の選手が入場行進した。昨年優勝のおかやま山陽の主将で、同県倉敷市真備町の自宅が浸水被害を受けた井元将也内野手(3年)が優勝旗を返還。避難生活が続く中で、野球ができることへの感謝と全力プレーを誓った。西兵庫大会では優勝候補の三田松聖が初戦を突破。69年夏の甲子園準優勝右腕、三沢の太田幸司氏(66)=元近鉄など=の次男・幸助投手(3年)が三塁ベースコーチ兼ムードメーカーとしてチームを盛り上げた。

 深い悲しみと混乱の中で最後の夏が幕を開けた。県内に甚大な被害をもたらした西日本豪雨から1週間。開会式で優勝旗を返還したおかやま山陽・井元主将は「こんな状況の中で開会式に参加できた。助けてくださった方々に感謝したい」と神妙な面持ちで語った。

 井元主将は倉敷市真備町出身。地区を流れる小田川の堤防が決壊して町の約3割が水没し、50人に及ぶ犠牲者が出た。幸い家族5人は無事だったが、2階建ての自宅は1階天井まで濁流にのみこまれ、一家は総社市の親戚宅に避難を余儀なくされた。

 「今まで住んできた家や町が、あんなことになってショックでした」

 7日から3日間は練習にも参加できなかった。「こんなときに野球をやっていいのか」と迷ったが、両親から「今は野球に集中しなさい」と励まされて10日に練習復帰。水が引いた自宅の清掃を手伝いながら、間近に迫った大会に向けてトレーニングを続けた。

 おかやま山陽は倉敷市に隣接する浅口市にあり、真備町から通う生徒も多い。野球部は11日から同町でのボランティアに参加。チーム全員でがれきや泥の撤去、家屋清掃などを行っている。

 同校は昨夏の岡山大会を制し、甲子園初出場を果たした。今春センバツにも出場し、4番の井元主将は初戦・乙訓(京都)戦で2ラン本塁打を放った。

 家族はまだ避難生活が続く。町の復興にも時間はかかるだろう。複雑な思いを抱えながら連覇に挑む夏。「こういう状況で野球ができることに感謝してプレーしたい。どんな状況でもあきらめず、チャンスで1本打ちたい」。岡山工と対戦する14日の初戦に向け、井元主将は力強く誓った。

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