白山、ミラクル初聖地!東監督赴任時は部員5人 年間160回の練習試合で鍛えた

 「高校野球三重大会・決勝、白山8-2松阪商」(25日、四日市市営霞ケ浦球場)

 ノーシードの公立校・白山(はくさん)が、春夏通じて初の甲子園出場を決めた。就任6年目の東拓司監督(40)は大体大で巨人・上原とともにプレー。「万年1回戦負け」とやゆされた弱小校を「雑草魂」で夢舞台に導いた。

 最後の打者を三ゴロに打ち取り、マウンドにできた歓喜の輪。人さし指を立てて喜びを分かち合う選手たち。ミラクルVの白山ナインには、どことなくぎこちなさがあった。

 「スタンドにこんなにたくさんの人がいるのは夢のようです」

 2013年4月に就任した東監督は、観客で埋め尽くされたスタンドを見渡した。就任当初を思い返しながら、目には涙が浮かんでいた。

 白山に赴任した5年前。部員は新入生の1人を加えても5人だった。事実上の休部状態、グラウンドは草が生えっぱなし。何とか部を辞めた生徒を呼び戻し、夏の三重大会に出場。学校での壮行会では、生徒からやじが飛んだ。

 「どうせコールド負けだ」

 結果は5回コールドで1回戦負け。やじの通りだったが、大体大で巨人・上原とチームメートだった東監督の雑草魂に火が付いた。

 「絶対に甲子園に出たい」

 最寄りの名松線・家城(いえき)駅は「2時間に1本しか電車がこない」。山間の、田んぼに囲まれた学校。グラウンドは広かった。広い甲子園と同じ距離にポールとフェンスを置き、そこを目がけて打撃練習。冬場には1日1時間半の筋トレで筋力を培った。エアコンの効かないマイクロバスに選手を乗せ、年間160回の練習試合をこなした。

 就任5年目を迎えた昨夏、初めて初戦を突破。今年は菰野、海星と優勝候補に競り勝って決勝に進出した。決勝では鍛え上げた打撃が五回に爆発。打者一巡の猛攻で一挙6点を加えて甲子園への道をたぐり寄せた。

 5年前はやじられた壮行会。今年、「甲子園に行きます」と宣言すると、生徒たちから拍手が湧いた。監督と選手の雑草魂が、甲子園への道を切り開いた。

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