奈良大付2度の“歓喜の輪” 九回、審判の判定に勘違い…延長十一回植垣サヨナラ打
「高校野球奈良大会・決勝、奈良大付10-9天理」(28日、佐藤薬品スタジアム)
9-9の延長十一回、2死満塁から2番・植垣裕外野手(3年)が放った打球が右中間を抜けると、この日2度目の歓喜の輪がはじけた。創部60年の奈良大付が夏の甲子園初出場。6度目の決勝進出で悲願をかなえた。田中一訓監督(44)は「俺たちの時代で歴史を変えようと頑張ってきた」と涙で顔をぐしゃぐしゃにした。
サヨナラ打を含む3安打4打点の植垣がキーマンだ。九回に2点差とされ、なお2死満塁のピンチで天理の1番・宮崎秀太外野手(3年)が中前へ2点適時打。中堅・植垣がストライクの好送球で一走を三塁で刺した。
追いつかれて延長突入の場面。しかし、ナインは審判が2点目を示す指1本のジェスチャーを「1得点」だと勘違い。優勝決定だと思いマウンド上で歓喜の輪をつくった。審判の説明でベンチへ戻り、気持ちが切れても仕方がない場面だったが「逆にサヨナラのチャンスができた」と石塚海斗主将(3年)。しっかり切り替えて真の勝利をもぎ取った。
「智弁学園と天理に行きたくても行けなかった子たち」と田中監督が言うハングリー精神が力になった。「僕らは史上最弱と呼ばれてきた。だから『最弱の底力』です」と植垣は自信に満ちた笑顔で胸を張った。