大会ナンバー1右腕、金足農・吉田 14K 157球1失点完投
「第100回全国高校野球選手権・1回戦、金足農5-1鹿児島実」(8日、甲子園球場)
金足農のプロ注目右腕・吉田輝星投手(3年)が9回1失点、14奪三振の快投を演じ、23年ぶりの白星に導いた。
うなりを上げる直球には、手がつけられない。吉田が初の全国舞台で157球を投げ抜き、圧巻の奪三振ショー。完封こそ逃したものの、今大会ナンバーワン投手との呼び声が高い最速150キロ右腕が、ど派手な聖地デビューを飾った。
ピンチをピンチと感じさせない。低めの変化球を見極められていると見るや、速球で押した。六回2死二、三塁では代打・山下達を145キロで空振り三振に斬り、ピンチ脱出。毎回走者を背負いながら「追い込んでからいい球が投げられた」と14個奪った三振のうち、13個の決め球が真っすぐ。この日最速148キロを計測した最大の武器が光った。
田中将大(ヤンキース)のように、自在にギアを入れ替える。走者の有無や打順など状況に応じ、速球に3段階の球速差をつけて投げ込んだ。得点圏に走者がいれば、フルパワーで抑えにかかる。「試合中のバッターの反応を見て考える」と、高校生離れした投球術も持ち味だ。
今大会の主役に躍り出たエースに、バックネット裏からの視線も熱い。阪神・葛西スカウトが「落ち着いて投げていた」と評価すれば、楽天・長島スカウト部長は「プロ志望届を出したら、間違いなく上位で消える」とうなった。
8強入りした1995年夏以来23年ぶりとなる聖地星に導いたが、「30点」と吉田の自己評価は低い。同じく金足農で投手だった父・正樹さん(42)から「輝いてもらいたい」と名付けられた「輝星」。その名の通り、“みちのくの怪腕”が大舞台で輝きを放つスターとなる。