創志学園にスーパー2年生!西、16K完封 昨秋他界の父に快投ささげた
「第100回全国高校野球選手権・1回戦、創志学園7-0創成館」(9日、甲子園球場)
最速150キロを誇る創志学園(岡山)のエース・西純矢投手(2年)が、16奪三振の快投を披露した。2年生ながらU-18日本代表の1次候補にも選ばれている右腕は、自慢の快速球と3種類のスライダーなどを武器に4安打、しかも無四球で創成館(長崎)打線を完封。鮮烈な投球でチームに夏の甲子園初勝利をもたらし、西日本豪雨で甚大な被害を受けた地元・岡山を喜ばせた。
100回目の夏の聖地に、インパクト十分の“ドクターK”が現れた。先発全員から毎回の16三振を奪い、無四球で4安打完封。創志学園の2年生エース・西は、お立ち台の上で声を弾ませた。
「100点。野球人生の中で一番いいピッチングができました」
帽子を飛ばしながら腕を振り、三振を奪えば派手にほえる。気迫満点の2年生右腕の武器は、この日149キロをマークした剛速球だけではない。「ストライクを取る」「三振を取る」「左打者に使う」と、状況に応じて使い分ける3種類のスライダーが猛威をふるった。
二回2死から4連続、四回1死から6連続…。16三振のうち11個をスライダーで奪った。「基本は打たせて取る投球で、自然に三振が取れました」。抜群のキレ味に、相手打線のバットは次々に空を切った。
昨年10月11日。父・雅和さんが脳幹出血のため45歳の若さで亡くなった。幼いころから「甲子園に行けよ」と応援してくれた父。ショックで「野球をやめようと思った」というほど落ち込んだが、母・美江さんや仲間たちに励まされてエースは立ち上がった。
岡山大会では帽子に「10・11」と父の命日を書いて投げた。一緒に来るはずだった甲子園。初回、西はマウンドに上がり、空を見上げた。
「父が空から見てくれていると思って投げました」
ユニホームのポケットには数珠をしのばせていた。岡山大会の決勝前に長沢宏行監督(65)から渡されたもので、「これを持っていたからいい投球ができたと思う」と笑った。
チームは夏の甲子園初勝利。岡山県勢としては6年ぶりの白星となった。2回戦では下関国際と対戦する。周囲は球速にも期待するが「150キロは来年出せばいい」と西。表情を引き締めながら「今年は打たせて取るピッチングで、チームを勝たせたい」と力強く誓った。