日大三 全国制覇11年以来の夏、先発全員15安打で大勝発進

 「第100回全国高校野球選手権・1回戦、日大三16-3折尾愛真」(10日、甲子園球場)

 日大三(西東京)が夏の甲子園で同校史上最多の16得点を奪い、初戦を突破した。7番に抜てきされた上野隆盛外野手(3年)が3安打4打点など、先発全員安打で計15安打と打線が爆発。全国制覇した2011年以来、7年ぶりとなる夏の甲子園白星を、大勝で飾った。

 強打の日大三がニュースタイルで、高山俊(現阪神)らを擁し圧倒的な打力で頂点に立った11年夏の1試合最多得点14を超えた。0-1の初回に4四死球と4連打で一挙7点を奪って逆転。その後も攻撃の手を緩めず、今大会最多の16得点だ。

 猛打をけん引したのは“左キラー”の上野だ。西東京大会では2試合の出場にとどまったが、相手左腕対策として聖地初戦のスタメンに抜てき。「もしかしたらあるかな」という予感が的中した。

 初回から起用に応えた。3-1とすぐさま試合をひっくり返し、なおも1死一、二塁で左中間への2点三塁打。流れをぐっと引き寄せる一打に、「気持ちよかったんで、ガッツポーズしちゃいました」とはにかんだ。

 求められる役割に徹した。サウスポーを確実に仕留めるため、正面からボールを上げてもらうティー打撃など、練習から左腕を想定。三回には中前適時打、五回には左翼への適時二塁打と、本塁打が出ればサイクル安打の大当たりでチーム最多の4打点を稼いだ。

 大砲がいないからこそ、つなぎの意識は例年以上に強い。歴代チームの打線にも誇れる強みを、上野は「しつこさ」と表現した。主将の日置航内野手(3年)が「三者凡退だけはなしにしよう」とナインに徹底。低く鋭い打球を心掛け、安打ではなくても粘って粘って出塁して大量点に結びつけた。

 試合前、小倉全由(まさよし)監督(61)から「審判が止めるぐらいまで打っちゃえ」とゲキを飛ばされたという。攻撃を止められることはなかったが、試合は止めた。猛攻によって時間がかかり、七回終了時に初の給水・休憩タイムで一時中断。熱中症で足をつった球審が交代した。

 「きょうはつながって勝てたことが一番。打ち過ぎなんて、うちにはありません」と小倉監督。粘り強い打線を武器に、7年ぶりの夏制覇をうかがう。

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