星稜 6点差ひっくり返される悲劇 タイブレークでサヨナラ負け
「第100回全国高校野球選手権・2回戦、済美13-11星稜」(12日、甲子園球場)
右翼ポールで跳ね返った白球を見つめたまま、誰もがその場を動けなかった。最大6点リードをひっくり返される大暗転。星稜(石川)の林和成監督(43)は「勝たせたいチームだったので残念の一言」。優勝候補の一角、星稜がタイブレークで逆転サヨナラ負けし聖地を去った。
少しずつ歯車が狂った。先発の最速150キロ右腕・奥川恭伸投手(2年)は、四回の投球中に右ふくらはぎがつり、五回から継投に入った。ただ、七回で6点リード。優位に変わりはなかった。
しかし八回から4番手でリリーフした竹谷理央外野手(3年)も登板直後に脚がつり、7-4とされて1死満塁で降板。球場全体が済美を後押しするような雰囲気となった。
5番手の最速143キロ右腕・寺西成騎投手(1年)も相手の勢いを止められない。「正直、みんな敵なんじゃないかと思った」。1点差に迫られ、逆転3ランを浴びた。
九回に2点差を追いつく執念を見せ、タイブレークとなった延長十三回はまず2点を奪った。それでも最後は寺沢孝多投手(2年)が力尽きた。「すごく重たい雰囲気があったし、怖いと思ったところがあった」。逆転サヨナラ満塁弾を許すと、両膝に手をついた。
この試合では3人も脚がつった。「1人もつったことがないのに。(甲子園は)違う消耗の仕方があるのかな…」と林監督。聖地の“魔物”にとりつかれたような敗戦だった。