大阪桐蔭、鬼門突破 主将・中川が逆転V打!昨夏「一塁」踏み損ねた悪夢を払しょく
「第100回全国高校野球選手権・3回戦、大阪桐蔭3-1高岡商」(16日、甲子園球場)
史上初2度目の甲子園春夏連覇を目指す大阪桐蔭が、“鬼門”の3回戦を突破して、全国制覇した2014年以来4年ぶりに8強へ進出した。昨夏の甲子園3回戦・仙台育英戦で、逆転サヨナラ負けのきっかけを作った主将・中川卓也内野手(3年)が逆転の2点二塁打。最終回も高岡商の追い上げをしのいだ。西谷浩一監督(48)は史上単独3位の甲子園通算52勝目。浦和学院は渡辺勇太朗投手(3年)が5安打完封し、32年ぶりの8強進出。報徳学園は8年ぶり、済美も14年ぶりに準々決勝に進んだ。
あの日と状況が酷似していた。九回2死二塁。大阪桐蔭の内野陣はマウンドに集まると、苦笑いで目を合わせた。スタンドを見渡すと、一塁側アルプス以外は手拍子し、高岡商を後押しするムード。中川も仙台育英に九回逆転サヨナラ負けを喫した昨夏の3回戦を思い出していた。
ただ、今年は冷静だった。「あの日のことは1日も忘れたことはない。悔しさを持ってやってきたので」。心は揺れなかった。
円陣で山田健太内野手(3年)が「去年の仙台育英やん」と軽口で和ませる。笑って一呼吸置くと、中川が気合を入れた。
「去年の二の舞にはならんぞ!」
続く打者は三振。「去年、越えられなかった大きな壁を越えられてホッとした」。昨夏は涙を流した3回戦。今年は笑顔で試合終了を迎えた。
個人的な借りも返した。1点を追う三回1死一、二塁。外角直球を捉えて、左中間へ決勝の逆転2点二塁打。昨年の仙台育英戦は、九回に一塁を踏み損ねて敗戦のきっかけを作っており、「主将としても3番としても、大きな役割を果たせた」と胸をなで下ろした。
大会前から不振だった。1回戦・作新学院戦は4打数無安打。「どん底だった」。2回戦・沖学園戦までの練習で、西谷浩一監督(48)の言葉に救われた。「お前が何三振しても代えない。お前が作って来たチームやから代えんぞ」。打撃ケージ越しからの言葉で、迷いは消えた。
八回にも中前打。鬼門の3回戦で過去の悪夢も、現在のもどかしさもぬぐい去った。快挙まであと3勝。スター軍団をまとめる主将が、軌道に乗った。