金足農ミラクルすぎるサヨナラ 2ランスクイズで34年ぶり4強決めた

 9回、斎藤の2ランスクイズが決まり逆転サヨナラ勝ちし歓喜する金足農ナイン(撮影・佐藤厚)
3枚

 「第100回全国高校野球選手権・準々決勝、金足農3-2近江」(18日、甲子園球場)

 準々決勝4試合が行われ、金足農(秋田)が逆転サヨナラで近江(滋賀)を下し、34年ぶりの4強入りを決めた。エース・吉田輝星投手(3年)が2失点完投。打線は九回、鮮やかなサヨナラ2ランスクイズで勝利をつかんだ。済美(愛媛)は報徳学園(東兵庫)を下し、14年ぶりの4強入り。エース・山口直哉投手(3年)が、この夏初めてリリーフ登板し、五回途中から3安打1失点の好救援で接戦を制した。大阪桐蔭は浦和学院(南浦和)に大勝し、春夏連覇へ前進。日大三(西東京)は下関国際(山口)を下して準決勝に進んだ。

 奇跡を信じていた。1点を追う九回無死満塁。スクイズのサインに、この日無安打の斎藤璃玖内野手(3年)の腹は決まった。「打てなかったから、このために神様がチャンスをくれたんだな」。三塁側に絶妙に転がったバントに、黒土をけむらせ2走者が本塁を陥れた。驚愕(きょうがく)の結末に、聖地は熱狂の渦に包まれた。

 「イメージ通りだった。転がした瞬間、かえれると思った」。チームの打撃練習は8割がバント、2割がスイング。上位へつなぐ9番として、普段から約10種類の場面を想定してバント練習を行ってきた斎藤の職人芸に、二走・菊地彪の好判断が生きた。「三塁にゴロが転がった時点で絶対に行けると思った」。一塁手が本塁へ送球する間に、チームNo.1の俊足が一心不乱に滑り込んだ。

 ミラクルへの舞台を整えたのは、エース吉田だった。1点ビハインドの九回、最後の打者をこの日10個目となる奪三振で締めた。「裏にサヨナラ勝ちするために、三振を取れば盛り上がると思った」。松井裕樹(桐光学園、現楽天)以来となる4戦連続2桁奪三振の偉業を力で呼び込み、その気迫が、直後のドラマに結びついた。

 1人で全4試合を計615球。タフなエースも、この日朝起きると股関節が痛み、「先発を辞退しようかと思ったほどだった」と回避の可能性もあった。スクイズで泥くさくもぎ取った勝利に「きょうが金足農業の野球。執念の野球」と吉田は胸を張った。

 34年前、「雑草軍団」と呼ばれた金足農は、準決勝で清原、桑田のKKコンビを擁したPL学園と激突し敗れた。この夏、秋田県大会初戦からレギュラー9人で勝ち上がってきたみちのくの男たちが、歴史を超えてみせる。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス