金足農・輝星、東北初V獲る “同志”の思い&農業高魂&どっさり差し入れパワーに
「第100回全国高校野球選手権・準決勝、金足農-日大三」(20日、甲子園球場)
地元秋田の、東北の悲願をかなえる。34年ぶりに4強入りした金足農は休養日の19日、体を動かす程度で本格的な練習はしなかった。4試合連続完投中のプロ注目右腕・吉田輝星(こうせい)投手(3年)は大阪府守口市内の宿舎で取材対応。決勝まで一人で投げ抜き、東北勢初の頂点へと導くことを誓った。
多くの願いを背負い、吉田は準決勝に臨む。1984年のチーム最高成績に並び、視野に入れるのはあと2勝に迫った全国制覇。「東北初の優勝旗は自分たちが持って帰りたい」。春夏通じて東北の地に降りたことのない、甲子園の優勝旗。悲願は目の前だ。
“同志”から思いを託された。すでに敗退した八戸学院光星・長南、聖光学院・矢吹の両主将から「お前たちしかいない」とエールを送られた。ライバルであり東北の仲間である2人の言葉で、偉業への士気は高まる。さらに「全国の農業高校の代表としても頑張りたい」と“農業校魂”ものぞかせた。
快進撃に地元は大フィーバーだ。秋田県ごはん食推進会議からは2度にわたってブランド米「あきたこまち」が計200キロを贈られ、JA関連機関からも同じもの100キロが届いた。差し入れは他にもトマトジュースやメロン20個など多数。「すごいパワーになっている」と感謝した。
吉田自身としても史上初となる5試合連続2桁奪三振の大記録が懸かる。ここまで積み上げた奪三振数は51。4試合615球を一人で投げ抜いた鉄腕は、「決勝まで自分が投げて勝ちたい」とマウンドを譲る気はない。
迫る決戦へ向け、リフレッシュは十分だ。この日は宿舎近くの公園でストレッチやジョギングのみの調整で休養に専念。近くのスーパー銭湯の天然温泉につかり、焼き肉で英気を養った。準々決勝で痛めた左脚股関節も回復。「きょうが試合でも投げられる」と万全を強調した。
準決勝へのイメージもできている。第1回大会以来103年ぶりとなる秋田勢の決勝進出を懸けて対戦するのは、春夏3度の優勝を誇る日大三。「初回が勝負。3人で抑えられるように」と立ち上がりからギア全開の構え。悲願を地元に届けるため、“みちのくのドクターK”は腕を振る。