V支えた大阪桐蔭・小谷記録員の「お守り」
「第100回全国高校野球選手権・決勝、大阪桐蔭13-2金足農」(21日、甲子園球場)
B4サイズ1枚。その紙に最後の夏をかけた。大阪桐蔭(北大阪)の小谷優宇記録員(3年)は「みんなにありがとうといいたい」とお立ち台の仲間を見上げた。決勝前夜、眠りについたのは午前3時。約6時間もビデオで金足農(秋田)・吉田の投球内容からけん制フォーム、打者全員を徹底分析した。大阪大会から続けてきた自分の仕事だ。
最速144キロ右腕は、中学時代に「NOMOジャパン」として米国遠征を経験。しかし、故障もあり、最後の夏はベンチ外となった。そこで西谷監督から任命されたのが「データ班」だ。多い時には20枚ほどになるデータを「見やすいように」1枚にまとめて選手に配る。浦和学院戦で注目右腕の渡辺の内角球を打った藤原の本塁打には「データどおり」とほくそ笑んだ。
手書きの紙で渡すのは「お守りのようなもの」だから。そして、それは自分の「お守り」でもある。自分の目で見て分析した資料は「投手として生かせることがたくさんあった」。ノウハウは後輩に、自らは大学という新たな舞台で再びエースを目指す。