日本ハム清宮一発回答 再昇格即スタメン2号2ラン「いろんな縁が重なって打てた」
「日本ハム5-10ソフトバンク」(21日、静岡県草薙総合運動野球場)
高々と舞い上がった打球が右翼席上段へ突き刺さった。昇格即スタメン出場した日本ハム・清宮幸太郎内野手(19)が七回、1死二塁から5月9日・オリックス戦(京セラ)以来となる2号2ラン。代わったばかりのソフトバンク中田の138キロ直球を完璧にとらえた。
「フォークも頭にあったけどうまく打てた。いったと思った。前の2打席がなかなか自分の形で打てなかった。硬さがあった。ピッチャー交代で間ができて、ちょっと力が抜けたかな。そんな感じです」
首位西武の背中が遠ざかる中、栗山監督が起爆剤として投入したのがドラフト1位新人だった。とはいえ右肘の炎症が癒え、11日に2軍で実戦復帰したばかり。打撃に影響はないが、今はスローイングの距離を伸ばしている段階でシートノックにも入れていない。
それでもこの日に出場選手登録。「チームとして今までと同じことをやっていたらダメ。優勝するためには違うことをしないと」と指揮官はいう。「打つ方は問題ない。周りには反対されたけど押し切ってね。みんなをねじふせた」と振り返った。そんな思いにも応える打席だった。
試合が行われた静岡草薙球場は伝説の地だ。1934年の日米野球でベーブ・ルースと沢村栄治が対戦し、球場正面には2人の像が建つ。清宮は東京北砂リトル時代に世界一に輝き「和製ベーブ・ルース」と呼ばれていた過去を持つ。そんな選ばれし19歳が、圧巻の放物線を描いた。
「この場所でまた1軍に上がれてホームランが打てた。父も静岡で(ラグビー・トップリーグ、ヤマハ発動機の)監督をしているし、いろんな縁が重なって打てたと思います。もっともっと良い結果を求めてやっていきたい」。再出発にふさわしい舞台で最高の一振りだった。