「侍ジャパン壮行試合、高校日本代表４－２高校宮崎県選抜」（３１日、ＫＩＲＩＳＨＩＭＡサンマリンスタジアム宮崎）

　第１２回Ｕ１８アジア選手権（９月３日開幕・宮崎）に出場する侍ジャパン高校代表は３１日、大会メイン球場のＫＩＲＩＳＨＩＭＡサンマリンスタジアム宮崎で、宮崎県高校選抜と壮行試合を行った。吉田輝星投手（３年）＝金足農＝が九回に代表初登板し、最速１４９キロの直球を主体に１回無安打無失点。疲労回復のため代表１８人で唯一実戦出場がなかったが、堂々の“侍デビュー”。中堅・藤原恭大外野手（３年）＝大阪桐蔭＝と侍ポーズも決め、大会前最後の実戦を勝利へ導いた。

　内野１階席を埋めた１万６０００人が、一番の盛り上がりを見せた。九回。吉田は全力疾走でマウンドへ。大歓声と拍手が球場を包む。多くのファンが写真を撮るためにフェンス際へ走った。

　異様なムードの中、今夏の甲子園決勝以来１０日ぶりの実戦登板。代表１８選手で大トリの実戦初出場で、抑えを務めるのも初めてだった。「久しぶりの実戦で少し不安があったけど、迎えてくれてうれしかった」。投球練習中も大歓声。少しずつ表情が和らいだ。

　準備を終えると、膝をついて中堅・藤原と侍ポーズ。「ルーティンなのでやろうと思っていた。藤原は１００点。僕も１００点」。再び観衆を沸かせると、いつもの屈託のない笑顔を見せた。

　投球でも魅せた。全て直球系で１０球。先頭打者には死球を与えた。それでも続く打者は１４８キロで空振り三振に仕留め、三振ゲッツーを奪った。

　最後はこの日最速タイの１４９キロで、バットを折って投ゴロ。阪神、日本ハムなど複数球団が視察する前で、不安を一掃する投球で試合を締めくくった。「全力で投げるということを意識した。先発して５回ぐらい投げると、（状態は）上がってくる。そしたら１５０キロも出ると思う」。今後にも手応えをつかむ投球内容だった。

　初登板までは首脳陣の方針で今夏の地方大会、甲子園で計１５１７球を投げた疲労回復を優先した。「あれぐらい（の球数）でケガをしていると次のステージへいけない」と投げる意思はあったが、指示に従って慎重に調整を続けてきた。

　そして、ようやく日本代表としての第一歩を踏み出した。今後の起用法は未定だが、「頼られる存在になりたい」。欠けていたピースはようやく埋まった。２連覇を目指す侍ジャパン高校代表は、最高の形で本番を迎える。