東洋大・上茶谷、新球カットボールで打者ほんろう 虎のドラ1候補7回2失点の好投
「東都大学野球、東洋大4-3立正大」(1日、神宮球場)
プロ大注目の右腕が迫るドラフトへ向け躍動した。開幕戦で東洋大が接戦を制し先勝。阪神などが、ともに今秋ドラフト1位候補に挙げる上茶谷(かみちゃたに)大河投手(4年・京都学園)と甲斐野央投手(4年・東洋大姫路)のリレーで逃げ切った。上茶谷は新球のカットボールを駆使して7回3安打2失点。今春、唯一勝ち点を逃した立正大に雪辱し、4季連続のリーグ制覇へ好スタートを切った。
新兵器を携えたエースが、きっちりと試合を作った。上茶谷は今春に続き2度目の開幕投手。「真っすぐの調子がよくなかった」と最速151キロを誇る直球がこの日は140キロ中盤にとどまったが、今夏本格的に習得したカットボールが効果を発揮した。
初回から新たな武器が生きた。1死から立正大の2番・平田を追い込むと、決め球として披露。130キロ台から少し曲がる軌道で空振り三振に斬った。三回の先頭打者にも同じボールで空振り三振を奪うと、四回まで完全投球。五回は2安打に四球が絡み得点を献上したが、終わってみれば7回2失点。「試合を組み立てられた」と今春に四回途中でKOされた相手へのリベンジに成功した。
球種が豊富な一方、得意な変化球は球速が遅いものが多かった。参考にしたのが、関大時代の17年に侍ジャパン大学代表としてユニバーシアード優勝に貢献した大阪ガス・阪本のカットボール。遠征で東洋大グラウンドに訪れた右腕のボールを目の当たりにした。
当時代表でチームメートだった中川圭太内野手(4年・PL学園)を介し、握りを伝授してもらった。早速、夏のオープン戦で活用。「引き出しが増えた以上のことを感じています」と上茶谷の手応えは上々だ。
この日は1位候補に挙げる阪神など11球団のスカウトが視察し、注目度の高さは変わらない。オリックス・古屋編成部副部長は「変化球はよかった。幅が広がった」と評価。杉本泰彦監督(59)も「試合を作ってくれる。エースだな」と信頼を寄せた。
6月の全日本大学選手権で打ち込まれ、目標の日本一を逃した。今夏の大学日本代表にも落選し、悔しさを糧に迎えた今秋。「このままリズムに乗っていきたい」。エースの役割を全うし、プロ入りへ猛アピールする。