復興へのプレーボール 北海道とともに日本ハム一丸星

 「日本ハム4-3オリックス」(14日、札幌ドーム)

 日本ハムは北海道で震度7を観測した地震後、初めての札幌ドームでの試合となるオリックス戦で快勝した。0-1の四回1死満塁、清宮幸太郎内野手(19)が押し出し四球を選んで同点とすると、鶴岡慎也捕手(37)の中前適時打で勝ち越しに成功。この一戦を「復興へのプレーボールとする」との強い思いで臨んだナインが、大きな勝利を地元ファンに届けた。

 勝利の凱歌(がいか)が響き、札幌ドームが万雷の拍手に包まれる。最大震度7の大地震から8日。被災地が復興へ向けて大きな一歩を踏み出した。「どうしても勝ちたかった」。北の大地を思い、栗山監督が特別な勝利をかみしめる。勇気と希望を届けられた。

 1点ビハインドの四回1死満塁。主将・中田の全力疾走で広がったチャンスに、清宮が応えた。ローチに2球で追い込まれたが、フルカウントまで粘って押し出し四球。「三回まで得点できなかったんですけど、今日来てくださった(ファンの)方たちが後押ししてくれたかなと思います」。2万4341人の観衆が、最高の舞台を作り上げてくれた。

 鶴岡の勝ち越し中前打で流れは一気に傾き、五回には大田が左前適時打。先発・ロドリゲスは来日自己最長6回1失点と好投し、最後は新守護神・石川直が2点を奪われながら執念で試合を締めた。栗山監督は「選手たちに『なんとかするんだ』という気持ちがすごくあった」と称えた。

 6日未明に起きた地震で札幌市内にいたチーム本隊も被災。東区の合宿所は停電と断水が続き、選手たちは苦しい生活を余儀なくされた。来場者の安全面を考慮して11日からのロッテ2連戦(札幌ドーム)は中止となり、チームは千葉・鎌ケ谷の2軍施設で2日間の全体練習を実施。5日ぶりの勝利のために、万全の準備を整えた。

 「僕が想像している以上にファンの方々が来てくれて、日本ハムは幸せだと思います」

 接戦を制した試合後、中田は感謝の思いを口にした。逆転Vを目指す厳しい戦いも、ファイターズには心強いF党がそばにいる。「共にがんばろう北海道」。左翼席最上段に掲げられた魂のフレーズが、共闘の合言葉だ。

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