高知商・山中が最後の試合で公式戦初出場 先天性四肢障害も「毎日素振りしてきた」
「福井国体・高校野球硬式・1回戦、近江6-4高知商」(2日、福井県営野球場)
「先天性四肢障害」のため、生まれつき右手の指が2本しかない高知商の主将・山中大河内野手(3年)が、高校生活最後の大会で、念願の公式戦初出場を果たした。
八回2死で代打で出場すると、スタンドからは大歓声が沸いた。直球に差し込まれて左飛に倒れたが、スタンドからは再び大きな拍手が沸いた。
「最後は試合に出してくれると信じて、毎日素振りをしてきたのでうれしかったです。温かい声援や拍手をもらえて力になりました」とほっとした表情を見せた。
九回には一塁の守備にもついた。山中は右手の指が2本しかないため、ボールを捕るのも投げるのも左手。小1から野球を始めた後、米大リーグで活躍した隻腕投手、ジム・アボットの映像を見て「グラブスイッチ」の技術を学んだ。
左手で捕球したあと、ボールを右手の2本の指でつかみ、グラブを右脇に挟みながら球を左手に持ち替えて投げる。九回1死二塁で右前打を処理した右翼手の送球を受けて、ボールを素早く握り替えたが送球はできなかった。
それでも最後の公式戦出場を楽しんだ様子で、「みんなに感謝しています」と終始笑顔で振り返った。
将来は教員免許を取り、野球の指導者となることが目標だ。「(教え子を)甲子園に連れて来られるようになりたいです」と夢を語った。上田修身監督は「人のためにという気持ちがある子。そういう仕事に就いたら子供たちのために尽くして、いい教員になるんじゃないかなと思います」と今後の活躍を願っていた。