巨人・山口鉄也が笑顔の引退会見「やりきった思い。悔いはないです」
巨人・山口鉄也投手(34)が5日、都内ホテルで会見を開き、今季限りでの現役引退を正式に表明した。
スーツ姿で登壇し、緊張した面持ちで「今シーズンをもちまして、引退を決意しましたのでご報告させていただきます。13年前、育成選手として取っていただき、何もなかった自分がジャイアンツのユニホームを着て野球できると思わなかった。幸せな日々、今はやりきった思いでいっぱいです」と語った。
育成からはい上がり、球界を代表する中継ぎ左腕に成長。08年から9年連続60試合登板を果たした。勝利の方程式の一角を担い、原辰徳監督時代の2度のリーグ3連覇や、09年と12年の日本一に貢献。12年は72試合の登板で、防御率0・84と抜群の安定感を誇った。
終始、晴れやかな表情。「ジャイアンツに拾ってもらった身、少しでもチームの勝利に貢献して恩返ししたいと思っていた。ここ数年成績が上がらず、けがで2軍に行ったり、(今季は)1軍にも一回も行けず貢献できなかった。そろそろ限界かなと思って決断しました。悔いはないです」と語った
近年は蓄積疲労の影響で、成績が低迷。昨季は18試合の登板にとどまり、13年目の今季は左肩痛などに悩まされ、1軍での登板はなし。イースタンでも18試合の登板で防御率4・96と思うような投球ができなかった。
自身の左肩へのメッセージを問われ「まさかこんなに使うと思わなかったと思う。『びっくりしただろ?』と言いたい。今日の肩は痛いのか、痛くないのか。考えなくていい。『お疲れさま』とも言いたい」と笑った。
周囲のサポートにも感謝。「自分を見いだしてくれた小谷コーチ。1年目のオフに自主トレに行き、野球のいろはを教えてくれた工藤さん、公私ともにお世話になった内海さん、リードしてくれて力を発揮してくれた阿部さん、使い続けてくれた原監督。そういう方のおかげで成長できました」。人望が厚く、会見には内海、長野、坂本勇、沢村、菅野、宮国、同じく今季限りで引退した杉内さん、元巨人の村田修一さんも駆けつけ、記念撮影した。
苦難の壁を乗り越え、大輪の花を咲かせた“育成の星”。巨人だけでなく、他球団のファンにも夢や希望を与えた鉄腕が、惜しまれながらユニホームを脱いだ。