元阪神ドラ1の中谷監督率いる智弁和歌山、大阪桐蔭を下し準決勝進出
「秋季高校野球近畿大会・準々決勝、智弁和歌山5-2大阪桐蔭」(28日、ほっともっとフィールド神戸)
阪神の97年度ドラフト1位で、8月に就任したばかりの中谷仁監督(39)率いる智弁和歌山が、“天敵”の大阪桐蔭を下して準決勝に進出。4季連続の甲子園となる来春センバツ出場に当確ランプをともした。今年、史上初めて2度目の甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭は、8強止まりで来春センバツ出場が微妙な状況となった。
勝利を決めた瞬間、力強く両拳を握った。難敵の追い上げをしのぎ、来春センバツ出場へ大きく前進。中谷監督は開口一番、恩師への感謝を口にした。
「高嶋先生が育ててくれた選手が躍動した。高嶋先生が作ったチームが勝ったと思う」
17年1月に臨時コーチとして母校に戻って以降、大阪桐蔭には公式戦5戦全敗。その間に高嶋前監督とともに育てた教え子は、たくましい姿を見せた。
1点を追う二回に4安打を集めて逆転した。先発・池田泰騎投手(1年)は、8回2失点の好投。苦手意識を払しょくする意味でも、大阪桐蔭を倒した価値は大きかった。
「『智弁』の看板があるけど、僕はまだまだ新米監督。勉強させてもらいながらぶつかっていくつもりだった。桐蔭さんがセンバツ出場の当確ラインの大きな壁だと思っていたし、本当に勝てて良かった」。一つの目標を達成し、ほっと一息ついた。
現役時代は阪神、楽天、巨人でプレー。特に影響を受けた指導者が、楽天・野村克也監督だった。8月24日に就任してからの2カ月間は、名将から学んだ「準備」の必要性を口酸っぱく伝えてきた。
「高校野球は土日に試合があるサイクルの中で、月曜からどのように戦う準備していくのか、と言っている」。全体練習では実戦形式や、個別練習の量を増やした。自ら考え、準備する習慣を植え付ける意味もあった。
指導の成果が見えた。粘り強い大阪桐蔭に追い上げられた終盤。ベンチでは自然と「終盤やぞ!」と声が出ていた。圧力を掛けてくる相手にスキを見せず、プレーに集中することを確認。選手は難局を乗り切る心の準備ができていた。「桐蔭の強さを目の当たりにしてきたけど、頼もしかったですね」。元虎戦士は、頼もしい教え子と甲子園に帰ってくる。