西武・福倉健太郎 故郷の鹿児島で指導者の道を目指す
【第2の人生へプレーボール】
10年ぶりのリーグ優勝に沸いたチームの中で、静かに決断を下した。福倉は1軍登板がないまま今季を終え、現役引退を決めた。「西武で終われたらいいと思っていた。寂しさもあるし、ホッとして肩の荷が下りたという思いもある。区切りが付いた」と穏やかな表情で振り返った。
プロ通算で11試合に登板。初登板は2年目の2015年7月12日の日本ハム戦だった。「相手には大谷選手(現エンゼルス)もいた。緊張しまくっていたけど、たくさんのお客さんの前で投げられる喜びを感じて幸せだった」。2回1失点の結果以上に充実感を味わった。
17年は開幕1軍入りを果たし、10試合に登板した。「ソフトバンク戦でも投げられた。スーパースターたちと野球ができたことが財産になった」。今季は2軍で40試合に登板。1軍の投手陣は厳しい状況が続いたが、チャンスは巡ってこなかった。
今後は故郷の鹿児島で指導者の道を目指す。「鹿児島の野球を少しでも発展させる手助けをしたい。ずっと思っていた」。引退を決めた後、鹿児島県内の高校からコーチとしてのオファーも届いた。現在は会社員として働きながら、近い将来に夢の実現を目指す。
高校時代は甲子園出場もなく、大学でも全国的に注目される存在ではなかった。それでも、努力を重ねてプロへの道を切り開いた。「当たり前のことをしっかりできるような選手を育てたい。諦めず、コツコツやることで夢はかなうかもしれない」。自身の経験を伝えることで、鹿児島からプロを目指す球児を後押しするつもりだ。
西武の渡辺シニアディレクターには「これからの人生の方が長いんだ。頑張れよ」と激励を受けたという。プロ野球選手として学んだキャリアを還元することが、西武と故郷への“恩返し”になる。そう信じ、第2の人生を踏み出した。