巨人“原野球”に欠かせない走り屋 争い勝ち抜くのは誰か

 昨季、1点差ゲームで12勝24敗と大きく負け越した巨人。今季、接戦の弱さを克服しなければ頂点は見えてこない。

 原辰徳監督は接戦の展開で価値が高まる“走り屋”の存在を重要視。前政権時代に代走の切り札として活躍した鈴木尚広外野守備走塁コーチの名前を挙げ、「自分の中でどうしても用兵、戦力として作りたいのは『尚広2世』」と語っている。

 3シーズン現場を離れていた指揮官だが、秋季キャンプなどで特徴を把握済み。「候補は4、5人」としており、キャンプから激しい争いが繰り広げられそうだ。

 現時点で、上位にいるのは立岡か。鈴木コーチが代走としての起用が増えたのは30歳を超えてからだが、立岡は今季中に29歳となる外野手。経験値は高い。

 15年は原監督のもと1番打者として活躍し、16盗塁をマークした。ただ、スピードに定評があるが、プロ通算の成功率・708。通算228盗塁をマークした鈴木コーチの現役時代の成功率は、驚異の・829。立岡には確実性を高めることが求められる。

 内野の守備力も高い吉川大も、候補に挙がる。現在26歳だが昨季も貴重なベンチ要員としてチームを支え、7盗塁で失敗なし。通算12盗塁だが、通算成功率・857と好成績を残している。

 レギュラー定着を目指す重信も、走力が武器の外野手。まだ25歳と若く昨季は打力にも成長が見られただけに、控えに置いておくのは惜しい存在でもあるが、候補のひとりになるだろう。3シーズンで通算21盗塁、成功率・700の成績を残している。

 確実性なら、2年目の田中俊。勝負強い打撃も備え、吉川尚との正二塁手を争う有望株だ。重信同様、代走に専念させるのはもったいないが、走塁センスと勝負強さはピカイチ。ルーキーイヤーの昨季は6盗塁をマークし、失敗なし。イースタンでも8盗塁を決め、失敗はなかった。

 1軍経験はないものの、松原も虎視眈々(たんたん)と狙う。育成から支配下登録を勝ち取り、原監督が指揮した昨年11月の日米野球でランニング本塁打。快足ぶりをアピールした。イースタン・リーグでは昨季、24盗塁。失敗も20あり、成功率・545と低いのが気がかりだが、伸びしろは最もあるかもしれない。

 鈴木コーチは「盗塁は3秒あるかないか、数秒の世界で勝負が決まる」「心技体、三位一体、どれかひとつ欠けると勝負できません」と語る。相手のマークもより厳しさを増す状況でスタートを切ることが求められ、配球の読み、スタート、加速力、スピードに乗ったスライディングの高度な技術も必要となる。

 鈴木コーチのもと、作られていく“尚広2世”。走り屋のポジション争いにも注目が集まりそうだ。

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