元フジテレビ・田中大貴アナ 常に等身大で「自分」を持ち、貫ける人、藤川球児
プロ野球界に幅広い人脈を持つ元フジテレビ・田中大貴アナ(38)が人気選手の隠れた一面を同アナの視点で紹介していきます。今回登場するのは阪神・藤川球児投手(38)です。
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先月、アナウンサー同期で東京六大学野球同期でもある日本テレビの上重聡アナが『松坂世代』を描いた書籍を出版しました。プロの世界で生きてきた10人の同級生を描いた内容の本で、僕も書評を書かせて頂きました。読んでいて「ほんま、その通り!おっしゃる通りや!」と思ったのが阪神・藤川球児投手のことを評した部分でした。
「松坂世代にあって、距離感も価値観も違う、特別な存在」
まさに、これが藤川球児という男の印象です。誰に対しても、どんな時も、いつインタビューに行っても、決して自分のスタイルを乱すことはない。「自分」を持ち、貫ける人間。そこに嘘はなく、常に等身大。迫力がある。媚びることなく自分の距離を持ち、コメントは的確。何度かインタビューをさせてもらいましたが、そのたびに心臓をガッとつかまれるような感覚があります。
分かりやすく言うたら、めちゃくちゃ緊張する選手。その冷静さから、常にこちらが見抜かれている感覚に陥る。同じ歳やのに…今でも話を聞くときは固まっております。「特別な存在」。これもほんまにその通り。彼が大リーグから日本に戻ってくることを決めた時でした。
帰国して一番にインタビューをさせてくれました。どんなことを話してくれるんやろう…と思い、インタビュー場所に行きました。靴を脱いで上がる部屋でしたが、階段を上がってきた藤川投手は僕らスタッフの靴をきれいに並べ直し、さらに自分の靴も美しく並べて部屋に入ってきたのです。
「これこそが藤川球児なんや」と思いました。大リーガーになろうが、日本復帰を注目されてようが関係ない。人として当たり前のことをどんな立場になっても当たり前にやる。人目がある、ない、なんて関係ない。野球選手である前に1人の人間であり、社会人である。いつになっても、どんな時もこの感覚を忘れない。だから特別と言われ、僕もほんまに尊敬しています。
今年、39歳。藤川球児が守護神として返り咲く瞬間が絶対来ると僕は確信しています。
◆田中 大貴(たなか・だいき)1980年4月28日生まれ、38歳。兵庫県小野市出身。小野高から慶大に進学し、硬式野球部では02年春の東京六大学リーグで本塁打王のタイトルを獲得するなど、スラッガーとして脚光を浴びた。03年フジテレビ入社。レギュラーとして朝の情報番組『とくダネ』など多数に出演。プロ野球界をはじめ、各界に幅広い交友関係を持つ。18年4月に退社し、現在はスポーツアンカーとして活躍中。