呉、西日本豪雨被災地に元気を!上垣内主将「幸せです」聖地で感謝のプレー見せる

 「選抜高校野球・選考委員会」(25日、オーバルホール)

 第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕・甲子園)の出場校が25日発表され、広島から呉と広陵の2校が選ばれた。昨秋の中国大会4強の呉は2年ぶり2度目の出場。ナインは西日本豪雨の被災地でもある地元に元気を与える戦いを誓った。組み合わせ抽選会は3月15日に行われる。

 2年ぶりの吉報が呉ナインに届いた。校庭で行われた伝達式。西山校長から出場を告げられると思わず涙ぐむ選手もいた。「うれしい。幸せです」と上垣内俊早主将(2年)。広陵の選出が確実なため、地域性を考えると呉の出場は微妙だったが、広島大会決勝で広陵に惜敗、中国大会準決勝でも米子東(鳥取)に延長十三回タイブレークの末に惜敗という粘り強い戦いが評価された。

 ナインにとっては地元へ感謝と元気を届ける甲子園でもある。昨夏の西日本豪雨では呉市も大きな被害が出た。学校周辺も約2週間断水。練習もままならず、寮で暮らす選手も不自由な生活をしいられる中、保護者や地域の人から飲み物やおにぎりが届けられた。選手が被災地に入り、土砂運びなどのボランティア活動をした時には逆に被災者から「頑張って甲子園を目指せ!」と激励を受けた。

 「周りの人から支えられて僕らは大好きな野球ができていることがわかった」とエースの沼田仁投手(2年)が話せば、上垣内主将も「これまで多くの人に助けてもらった。甲子園では感謝の気持ちを忘れずにプレーしたい」と力を込めた。2年前のセンバツで呉が春夏通じて初めて甲子園に出場した時には、多くの市民が寄付金を送ってくれた恩も忘れるわけにはいかない。

 前回のセンバツでは初戦は至学館(愛知)相手に九回に同点に追いつき、延長戦の末に初勝利。2回戦の履正社(大阪)戦は圧倒的不利が伝えられる中、敗れはしたが、0-1と大善戦した。今年も2年前と同じ守りのチーム。中村信彦監督(64)は「投手を中心にしっかり守ってムダな点を与えない。そこをセンバツまでにもう一度鍛えていきたい。いつも応援してくれる地元の人のためにも2年前を超えたい」ときっぱり。地元愛を胸に呉ナインが聖地に立つ。

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