星稜・奥川17K完封 強打履正社をわずか3安打!虎ホレ直す圧巻ピッチ

 「選抜高校野球・1回戦、星稜3-0履正社」(23日、甲子園球場)

 虎が熱視線を送る怪物は本物だ。第91回選抜高校野球大会が23日開幕し、星稜(石川)の奥川恭伸投手(3年)が圧巻の投球を披露した。自己最速を1キロ更新する151キロを記録しただけでなく、強打の履正社(大阪)から17三振を奪い、3安打完封。今秋のドラフト1位候補に挙げる阪神のスカウト陣も集結し、大舞台で臆することなく実力を発揮するパフォーマンスを絶賛。今後も右腕の投球を追っていく。

 とても高校生と思えない。試合前の「大人の投球を目指している」という宣言通り、130球でゲームを支配した。主役は奥川だ。衝撃的な毎回の17奪三振。「押すところと引くところを大事にしようと思った」。必然の完封劇に平成最後の怪物誕生の予感が漂う。

 「ガンガン振ってくるバッターが多いので(変化球の)コンビネーションを大事に。高校に入って(出来が)上の方と思います」

 履正社の強力打線を手玉に取る。「傾向は出てました。どの高校も指導方針は全員一緒で相手の強いところに投げないように」。入念に対策を練りイメージ通りに演じた。力強い直球に巧みに変化球を交え、大人のエッセンスも絶妙に施した。

 初回の4球目、自己最速を1キロ更新する151キロを記録。「球場の雰囲気を味方に付けるのはいいこと」。観客のどよめきを追い風にする冷静さ。投球では不意にクイックを入れ、打者のタイミングを外す。球種も「バッターを見て」微妙な変化を付ける。「九回まで全力で投げると終盤に落ちるので」。ペース配分通りの完封は高校生離れの技。グラウンドを離れても「自覚」は十分だ。

 19日、京都外大西戦のため京都入り。約3時間のバス移動後の試合を考え、奥川は金沢のコンビニで間食用に干し芋とゆで卵を選んだ。「要冷蔵の物は良くないので」。時間の経過で傷む恐れのある物は避ける。普段もお菓子類を避け体にいいとされる納豆を好む。「(前日の食事は)炭水化物が多い方がいいというのも聞くのでやろうかなと」とプロ並みの意識の高さだ。

 ネット裏には阪神から嶌村球団副本部長らスカウト陣が集結。担当の筒井スカウトは「いい意味で力通りのものが出せている。大舞台でも臆することなく出せている」と大人の投球を絶賛。今秋のドラフト1位候補として、成長を追っていく。

 大会初日から、前評判以上とも言える圧巻のパフォーマンス。もちろんまだ序章にすぎない。「何でも初めてはうれしいので」。試合後、甲子園初完封に浮かべたあどけない笑顔に、ようやく17歳を感じさせた。

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