阪神園芸グラウンドキーパー、母校・大分の初勝利見届けた 16年夏記録員で甲子園
「選抜高校野球・1回戦、大分4-1松山聖陵」(27日、甲子園球場)
1回戦3試合が行われ、大分が松山聖陵を下し甲子園初勝利、県勢初となる2校初戦突破を果たした。
後輩の横で土をならし、真っ白な線を引く。仕事を全うすることに変わりはなくてもちょっとドキドキした。阪神園芸のグラウンドキーパーで大分OBの野崎颯(はやて)さん(20)が、母校の甲子園初勝利を見届けた。精魂込めて任務を終えると「素直にうれしい」と笑みがこぼれた。
2016年夏の甲子園。内野手だった野崎さんは記録員としてベンチ入りした。その開会式が運命の岐路になった。記録員は行進せずスタンド見学。そこで華やかな舞台を陰で支えるグラウンドキーパーの動きに目を奪われた。「阪神園芸っていいな」。高校卒業と同時に夢をかなえた。
入社して2年。普段は鳴尾浜の担当だが、上司の心遣いでこの日は甲子園を担当できた。実は、試合前に3度も宿舎に激励に行った。「甲子園は打たないと勝てないと、えらそうに言いました」。恩師の広瀬茂部長は「先輩が(グラウンドを)きれいにしてくれるぞ」と言ってくれた。
今は修業中。それでも決めているのは「一番はイレギュラー(させないこと)」。新たな目標も、また聖地にある。