鳥谷 球児と男の約束守る!! プロ16年目初の開幕スタメン落ちも「変わらない」

シートノックで気合を入れて本塁へ返球する鳥谷(撮影・田中太一)
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 阪神の鳥谷敬内野手(37)が27日、2019年のシーズン開幕前に胸中を激白した。プロ16年目で初めて開幕スタメンを外れることが決定。言葉の端々に悔しさ、やるせなさがにじむが、ここで終わるはずがない。変わらずレギュラーを目指し、不死鳥のごとく舞い戻る覚悟を明かした。チームはこの日、西宮市の広田神社で今季の必勝を祈願し、午後は京セラドームで全体練習。鳥谷もいつもと同様に軽快な動きを披露した。

 約束がある。16年目の開幕。だが、これまでとはどこか違った。鳥谷が静かに、しっかりと言葉を紡いだ。「ずっと一緒。気持ちは変わらない」。待ち受けていたのは初の開幕スタメン落ちだった。

 守り続けてきたものが、ついに途切れる日を迎えた。開幕ショートを誓った19年。表情が緩むことはない。そんな中で苦悩、喪失感が垣間見られた。「こだわりはない」と懸命に前を向くが、新人時代から15年間、必死に積み重ねてきた歩み。悔しさが言葉になる。

 「選手としてシーズン最初にグラウンドに立つってことは、スタートする時点で周りに信頼されているということ。それがないっていうのは残念ですね」

 3年ぶりの遊撃再挑戦を申し出たのは昨年10月だ。「実は去年の途中から決めていた。挑戦したいって」。舞台裏には、男と男の約束があったという。1つ年上の藤川と交わした会話。「俺がマウンドに立っているときに、ショートを守ってもらいたい」。共に優勝を知る戦友からの言葉。背中を押されたような気がした。

 厳しい戦いなのはわかっていたから、即行動にも移した。オフは毎日のように甲子園に通い、黙々と打ち込み。春季キャンプでも若手に交じって、懸命に白球を追いかけ続けた。それでも開幕10日前。横浜の地で、ひとり3・29を思った。

 「試合に出られないかもしれないな、もちろん不安はあるよ」

 消え入るような、か細い声だった。オープン戦で先発出場は5試合のみ。若手の台頭という大波にのみ込まれ、代打出場が多かった。代打安打を放っても、試合後は「打席に立ててよかった」とつぶやく。試合に出られる喜びを力に、オープン戦打率・308。尻上がりに状態を上げたが、新人・木浪に一歩届かなかった。

 待ち受けていた現実は厳しく、受け止めるには時間がかかる。だが、約束を果たすためにも諦めない。「悲観しても何も変わらないから。いつまでも、ああだこうだ言いたくない」。この日の練習でも変わらず、遊撃の守備位置で軽快にノックを受けた。時折笑顔も見せながら、打撃練習でも快音を残す。その瞳で見つめるのは挑戦の続き。目の前には、終わりなき道があるのだから。

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