高松商、夏へ再出発 大正、昭和、平成の“3元号V”ならず
「選抜高校野球・2回戦、市立和歌山6-2高松商」(28日、甲子園球場)
高松商(香川)は市和歌山(和歌山)に敗れ、2回戦敗退となった。背番号10の先発・中塚公晴投手(3年)が6安打5失点(自責4)で四回途中降板。エース・香川卓摩投手(3年)が2番手で粘ったが、打線が相手投手陣を攻略しきれず、目標にしていた史上2校目の大正、昭和、平成の“3元号V”は達成できなかった。プロ注目のエース・奥川恭伸投手(3年)を擁する星稜は習志野に敗れ、智弁和歌山は熊本西に大勝した。なお和歌山勢2校の初戦突破は1982年の箕島、大成以来。
「二枚看板」で勝ち抜けなかった。高松商の3年ぶりの春は2回戦で終幕。目標に掲げていた、松山商に続く史上2校目の大正、昭和、平成の“3元号V”は夢と消えた。
「緊張して制球が定まらなかった。気持ち的に圧倒されていた」。背番号10の中塚が声を震わせた。
先発を任された中塚は、初回2死から相手3番打者に高めに浮いた直球を被弾。二回も3安打で2点を失い、力を出し切れないまま四回途中でマウンドを降りた。初戦の春日部共栄戦で13奪三振完封の快投を演じたエース香川が2番手で登板したが、交代直後の四回1死二、三塁のピンチで痛恨の暴投。五回以降は好投したが、序盤の失点があまりに重すぎた。
1年夏からエース格だった香川の背中を、中塚が懸命に追いかけてきた。昨夏に香川が腰を痛めて長期離脱。マウンドを託された中塚が経験を積み、昨秋の公式戦では登板7試合で防御率2・18の数字を残した。香川頼みだった投手陣は「二枚看板」と呼ばれるまでになった。
2人は週に1回、一緒に学校周辺のゴミ拾いするのを習慣にしている。その間も、投球フォームや配球など意見交換を重ね、互いを高め合ってきた。
試合後、香川は「中塚は顔がこわばっていた。あれでは全国で勝てない」と、あえて厳しい言葉でライバルの奮起を期待した。プロ野球・大洋で盗塁王に輝くなど活躍した中塚政幸氏(73)を大叔父に持つ中塚は、「香川のように強い気持ちで投げられるように、自分も成長したい」と誓った。苦い経験を糧に目指す夏。2人で切磋琢磨(せっさたくま)を続け、甲子園に帰ってくる。