智弁和歌山 1時間50分降雨中断なんの センバツ単独最多27勝
「選抜高校野球・3回戦、智弁和歌山5-2啓新」(30日、甲子園球場)
悪天候にも、2時間に迫るインターバルにも動じなかった。池田陽が9回2失点。完封こそ逃したが、高校に入って初めて一人で投げ抜いた。しかも、舞台は甲子園。「他の球場よりも気持ちいい」と笑顔がはじけた。
試合開始から雨が降り続き、2回終了時に試合が中断した。強まる雨脚、水が浮くグラウンド。中谷仁監督(39)からの提案で、いったん集中力をほぐした。約50分後に阪神園芸が整備を始めると、再びスイッチオン。試合前のルーティンにする5分間のめい想で再び試合に入り込んだ。
“二度目のマウンド”も、安定感は抜群だった。カットボール気味に自然と動く直球とチェンジアップを織り交ぜて相手打線をかわしていく。3月に入ってからの練習試合でも雨中のゲームを経験。「すごく投げやすかった」と“神整備”に感謝しながら、平常心で乗り切った。
この日の勝利でチームとして平成のセンバツ27勝目となり、最多となった。その大半を挙げた高嶋仁名誉監督(72)は常々、「弁天様は水の神様。雨が降っていると、智弁は強い」と自信を持っていたという。雨中でのノックで鍛えられてきたバックを信じ、エースが凡打の山を築いた。
連戦となって迎えるのは因縁の相手・明石商だ。昨秋の近畿大会で0-12と五回コールド負け。「悔しさはここでかえせたら」。連投など苦にしない。ユニホームをぬらしながらの121球は大きな自信となった。最高の舞台で、近畿のライバルに雪辱する。