広陵・村上の誓い…夏は定位置つかんで兄超える
「選抜高校野球・2回戦、東邦12-2広陵」(30日、甲子園球場)
劣勢でも役割に徹した。三塁コーチスボックスから広陵・村上太朗内野手(3年)が声を上げる。八回2死一、三塁で、前進していた右翼手の頭上を襲った秋山の大飛球。腕を力いっぱい振り、2者の生還を見送った。「思い切ってシフトしてくる」と東邦外野陣への対策は万全。しかし、見せ場らしい見せ場のないまま試合終了を迎えた。
洞察力や判断力はチームに欠かせない。試合前のノックから目を光らせ、相手の外野手の動きをチェック。本塁へゴーサインを出せば、「まだ自分が回してアウトになったことがない」。村上を含めた3人から登録メンバー最後の1人を絞る選手間投票では、大半から指名されてベンチ入りを果たした。
兄・嘉一さん(19)=流通経大=は17年夏の甲子園準優勝メンバーだ。4番を担う当時の姿は、本塁打を量産した中村奨成(現広島)よりもかっこよく映った。弟の永剛くん(15)も今春、広陵に入学予定。兄弟の存在にも刺激を受けている。
九回には代打で昨年9月以来の打席にも立った。遊ゴロに倒れながら、一塁へヘッドスライディング。大差にも「全然あきらめていなかった」と闘志を絶やさなかった。夏は控えに甘んじるつもりはない。定位置をつかんだうえで頂点に立ち、兄を超えてみせる。