先頭&サヨナラ来田弾!明石商が史上初4強 昨年準Vの智弁和歌山に劇勝
「選抜高校野球・準々決勝、明石商4-3智弁和歌山」(31日、甲子園球場)
明石商(兵庫)は前回大会準優勝の智弁和歌山に4-3でサヨナラ勝ちし、春夏通じて初の4強入りを決めた。先頭打者本塁打を放っていた来田涼斗外野手(2年)が九回に右越え本塁打。センバツで先頭打者&サヨナラ本塁打は史上初の快挙となった。中森俊介投手(2年)も3失点完投と力投した。習志野(千葉)、明豊(大分)、東邦(愛知)も4強入り。1日の休養日を挟み、2日に準決勝が行われる。
快音が響き、劇弾が夜空を舞う。仲間の声援も追い風に白球が右翼フェンスを越えた。「思いきって振り抜きました」。一塁を回るところで確信のガッツポーズを決めた。センバツ史上初となる、劇的なフィナーレ。カクテル光線に照らされながら、来田がダイヤモンドを駆け抜けた。
「芯で打てましたけど、ライナーだったのでどうかなと思いましたが、一塁回ったところで入ったなと」
ゲームを動かした男が、決着の一振りも放つ。九回、先頭で打席に入って2-2からの5球目だ。「追い込まれたらノーステップで打つので」。いつも通りの打撃を見失うことなく、142キロ直球を力強く右翼席へ。初回にもツーストライクから右翼に先制弾を記録していた中、1人での先頭、サヨナラの2発は史上初となった。
これで高校通算16本目。公式戦初アーチは昨年の秋季大会で勝利した智弁和歌山戦だったため、公式戦3本がすべて智弁和歌山という「キラー」ぶり。「智弁和歌山の応援も好きなので」とライバル校の応援歌を聞けば、自然と心が燃えてくると言う。お立ち台で並んだ同学年の中森の存在も、躍動の要因だ。
前日、バックスクリーン右にアーチをかけた中森とは宿舎で同室。昨晩、祝福の言葉をかけると「お前ホームラン打ってないよな」と上目線?で言われ、「僕の方が打点多いよな」と返したという。そんな同級生を野手の意地で一日で越え、援護した2発。仲間を助けた一撃は、常に意識するものでもある。
「音楽を聞くのが好きなので」と、お気に入りの一曲が日本ハム・中田翔の入場曲、ビーグルクルーの「My HERO」。今まで助けられてきたからこそ次は自分が助ける、といったニュアンスの歌詞にひかれ、毎日寝る前と移動のバスで必ず聞くのがルーティン。その言葉を体現したかのような活躍だ。
明石商初の準決勝進出。もちろんまだ満足はしない。「一戦一戦、自分のできることをやって貢献したい」。センバツ史に名を残したヒーローがさらなる高みに導いていく。