原因不明の腰痛を克服 市和歌山・滝谷、両親への感謝を胸に甲子園
「選抜高校野球・準々決勝、習志野4-3市和歌山」(31日、甲子園球場)
診断名はない。「甲子園で成長した姿を見せられた」。原因すら分からなかった腰痛を乗り越えた市和歌山・滝谷侑斎外野手(2年)が両親への感謝を胸に聖地に立った。
病院は5件ほど回った。学校を休み検査に1日を費やしたこともある。滝谷が腰痛を訴えたのは中1の春。「理由が分からず病院で診断結果も出なくて」。不安に駆られる中、評判のいい医師がいると聞き、父・知弥さん(44)や母・真奈美さん(45)と車で2時間をかけ訪ねた。そこで突き止めた原因は腹筋と背筋の筋力バランスの崩れ。先天性のものが起因していた。
リハビリをこなす中、痛みは緩和してはぶり返す繰り返し。「野球ができるか不安になりました」。折れそうな気持ちを支えたのが知弥さんの言葉だ。
「父から『人は越えなければならない壁がある。越えられる人にしか壁は来ない』と」と滝谷。リハビリの成果で市和歌山入学後は痛みが出ていない。
この日は「7番・一塁」で先発出場して二回の第1打席で二ゴロ。四回の守備で交代した後、チームは逆転負けした。「つらいことを経験したから何にでも前向きになれる」。苦しんで身につけた強さは必ず夏に生きてくる。