元フジテレビ・田中大貴アナ がん闘病の少年へ-託された筒香バット
「大貴さん!あの男の子、元気ですか?これ渡してあげてくれませんか?」
先日、ナゴヤドームでの試合前、ベイスターズ筒香選手が僕のところに走ってきて、自らのメッセージとサインが入ったバットと、手袋を持って来てくれました。実は半年前、関係者の方を通じて愛知県にがんと闘う筒香選手の大ファンの野球少年がいると伝えたことがありました。
少年の名は西川嵩悟(しゅうご)君、14歳。筒香選手に憧れ、筒香選手の活躍を糧に仙骨がんに立ち向かい、抗がん剤を打ちながらも毎日頑張っています。筒香選手はその時のことをしっかりと覚えてくれていて、今季が開幕してから西川君に渡すための道具を用意して待ってくれていたのです。
バットに記されていた文字は「互いに頑張ろう!」という言葉=切り込み写真。その日の夜、4番筒香選手は3安打猛打賞、延長十一回決勝タイムリーを放ち、お立ち台に上がります。
筒香選手から託された道具を渡した時、西川君は病床でバットと手袋を抱きしめ「元気になって秋にハマスタまで筒香選手を観に行けるように、がんに絶対に負けません。筒香選手のことがもっと好きになりました」と言ってくれました。
会えなくても応援してくれる子供たちの顔をいつも頭に浮かべながらプレーしているアスリート、筒香嘉智。プロ野球選手である前に、ひとりの人間として、ひとりの社会人として心のつながりを最も大切にしてくれる心ある人間。常に自分はどうあるべきかを考え、何をすべきか、何が出来るか、を教えてくれる存在こそが筒香選手です。
さあ、西川嵩悟君、元気になって、秋にハマスタに向かいましょうね!ヒーロー筒香嘉智が、西川君の前で横浜の空高くHRを打ってくれますよ!
◆田中 大貴(たなか・だいき)1980年4月28日生まれ、39歳。兵庫県小野市出身。小野高から慶大に進学し、硬式野球部では02年春の東京六大学リーグで本塁打王のタイトルを獲得するなど、スラッガーとして脚光を浴びた。03年フジテレビ入社。レギュラーとして朝の情報番組『とくダネ』など多数に出演。プロ野球界をはじめ、各界に幅広い交友関係を持つ。18年4月に退社し、現在はスポーツアンカーとして活躍中。